代表戦のビジネスモデルを輸出
今回のシンガポールでの親善試合は、主催者側からJFAへ2試合で1億円5000万円以上の出場料が支払われる。もちろんシンガポールまでの航空代やホテル代などの諸経費も主催者側が負担する。
試合会場はシンガポール・ナショナルスタジアム(収容約5万5000人)で、前回14年の日本対ブラジル戦では5万1577人の観客を動員した。シンガポールは在住日本人も多く、日本代表「SAMURAI BLUE」への人気も知名度も高い。今回も多くの動員を見込める。日本で確立されたダイナミックプライシングを軸としたビジネスモデルを〝輸出〟することで、主催者側に収益源の提供を図った。チケット収入や放映権料、スポンサー収入は入らないものの、支出なしで出場料をもらえる仕組みである。
観戦チケットは9月4日から一般発売した。カテゴリー1の価格は3万円台だ。平均購入価格帯を約2.2万円と設定すれば、総額12億円以上のチケット収入が見込める。日本ではなかなかない一大興行になる。
また、主催者に入っているシンガポールサッカー協会(FAS)とJFAは15年以上にわたり代表チームの試合開催など商業分野で協力する関係を築いている。今回もJFAが仲介して「みずほフィナンシャルグループ」を特別協賛とし、FASの収益拡大に寄与している。
進む日本スポーツの海外輸出
日本のスポーツコンテンツの海外進出は他の競技でも進んでいる。日本相撲協会は昨年10月におよそ12年ぶりとなる海外巡業を開催し、上々のスタートを切った。
日本で開催する大相撲は令和5年(23年)初場所6日目から満員御礼が続いている。外国人観光客がその人気を支えていることから、取り組みを始めた。
91年以来34年ぶりにイギリス・ロンドンで行い、フランス・パリを経て、来年は日・タイ修好140周年を記念してタイのバンコクで行う。東南アジア地域では大相撲史上初の開催となる。
「巡業」は本場所とは違い、招聘した地域の勧進元が主催者となる。相撲協会でも招待される側として航空代などの諸経費はすべて主催者が負担するとあって、今後は協会の収益の柱のひとつにしたい意向がある。
失敗できない戦いに
宮本会長は200億円台で推移するJFAの年間収入を「300億円台にしたい」としている。そのためにはサッカー日本代表の「輸出コンテンツ」は欠かせない。
失敗すれば、JFAの財政が一気に冷え込んでいくことにもなる。今回のシンガポールでのブラジル戦はJFAにとって大きな試金石となる。
