6月中旬の第2期内閣発足と同時に長官候補2人が「落馬」する過程もまた国民の不信を増長させた。6月13日、朴大統領は社会副首相兼教育部長官に金明洙(キム・ミョンス)氏を指名したが、過去に執筆した論文に盗作疑惑が浮上し、現政権初めての指名撤回を行った。また同時に文化体育観光部長官候補に指名した鄭成根(チョン・ソングン)氏は、大統領が最後まで任命を押し切ろうとしたが、脱税疑惑が浮上し結局辞退することとなった。
このような一連の人事問題により、一時期大統領の支持率は政権発足後最低の40%台前半を記録した。その後、6月の地方統一選挙と7月の国会議員再・補欠選挙で与党セヌリ党が底力をみせ、直近のローマ法王訪韓などもあり現在50%前後まで支持率が回復してきてはいる。セウォル号事件を機に国家改造を訴え、大胆な人的刷新に乗り出したが、人事面においては国民を安心させるどころか、残りの任期が3年以上も残っている朴槿恵政権の行方に不安を抱かせている。
朴槿恵政権の人材プールの小ささを指摘する声も少なくない。朴大統領は、大統領選挙当選後の引き継ぎ委員会の時から「手帳人事」、「密封人事」、「不通人事」と言われ、重要な人事を一人で決定してしまうことに対して批判の声があがっていた。
大統領の力と権威は人事から生まれる。
武田信玄の有名な言葉に「人は城、人は石垣、人は堀」という言葉がある。物事を決定するのは人材であるということだが、人がいないと言われる朴政権でどこまで城が維持できるのか、今後が注目される。
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