ウサギの水遊び、カエルの相撲や追いかけっこなど、擬人化された動物の描写が秀逸な「鳥獣人物戯画(ちょうじゅうじんぶつぎが)」。4年がかりの修復を経て、京都国立博物館で、初めて全巻が一挙公開される。
*写真は前期(10/7~11/3)展示場面
甲、乙、丙、丁の4巻からなる鳥獣人物戯画は、それぞれ長さ10メートルにおよぶ絵巻物で、平安時代末期から鎌倉時代に制作された。なかでも白眉は、擬人化された動物で知られる甲巻だ。同じく平安時代に描かれた乙巻には、馬や牛といった大型の動物や麒麟(きりん)、龍など空想上の動物が登場。丙巻には勝負事に興じる人々や動物、丁巻にはさまざまな人物が描かれている。「日本最古の漫画」と評される傑作だが、いずれも作者は不明だ。
展覧会では、鳥獣人物戯画が伝えられた京都の古刹、高山寺(こうさんじ)にも焦点を当てる。中興の祖、明恵上人(みょうえしょうにん)の肖像画や、上人が自らみた夢を綴った『夢記(ゆめのき)』、仏眼仏母像(ぶつげんぶつもぞう)、華厳宗祖師絵伝(けごんしゅうそしえでん)など、国宝、重要文化財の名宝にも注目したい。
また、京都国立博物館では、今年9月に「平成知新館」が開館し、こちらでは京文化を象徴する名品約400点を紹介する記念展「京(みやこ)へのいざない」(9月13日~11月16日)が開催されている。あわせて楽しむのも一興だ。
国宝 鳥獣戯画と高山寺
<期間>10月7日~11月24日
*会期中、展示替えあり。「鳥獣人物戯画」は各巻ともに前期と後期に分けて、前半と後半を半分ずつ展示
<会場>京都市東山区・京都国立博物館 明治古都館(東海道新幹線京都駅からバス)
<問>☎050(5542)8600
http://www.kyohaku.go.jp/jp/special/korekara/exhibition20141007.html
*情報は2014年8月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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