そのためにはどうすればよいのか。本書の終章では〈家族、親類、友人など横のつながりを早めに築く〉など習慣づけるべき7つのポイントを挙げている。いずれも合点のゆくことばかりである。高齢者になった時、社会から孤立しないために、その前から準備を進める必要性を本書は説く。年齢を重ね、体力が落ちた自分がどんな思いで暮らしていくのかを早めに考えて、準備をすることが大事だと強調する。
仕事に邁進している働き盛りの現役世代には、こうした発想には筆者も含めてなかなかなりにくい。しかし、冷静に考えれば非常に大事なことである。社会での肩書や所属する組織で活躍することはもちろん大切だが、自己を確立し、家族や地域と良好な関係を築き、そして何より自分に誇りをもつことは何より重要なことである。読む人の年齢を問わず、人間としてしっかり生きる力を自分で持つことの大切さを強烈に知らしめてくれる一冊だ。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。