世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年10月30日

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 そして、日豪安全保障協力の進展に伴い、メディアでも報じられるようになっているのが、豪州の将来潜水艦の調達をめぐる問題です。

 そもそも、豪政府が国産方針を見直し、日本を含む外国からの輸入や共同開発の方向に傾きつつあるのは、豪州の潜水艦建造能力の限界や国産建造にかかる莫大な費用という現実を直視し始めたためです。建造費用に関しては、豪州が自前で建造を行う場合、約500~800億ドルに上るとされますが、技術移転を含め日本から購入する場合、その費用は半分以下にまで抑えられ、中には250億ドル程度で済むとの試算もあります。

 もちろん豪州側は、アデレードにおける造船業の技術基盤・雇用維持の問題を抱えていますが、国産に拘り潜水艦の調達費用が高騰することは、国防予算の制約上、よろしいことではありません。また、たとえ日本から購入する場合でも、最終組立や整備の基盤を豪州に残すことは、現実的な選択肢であり、アデレードの雇用が完全に失われるということは考えにくいです。

 総合的に見て、日本との潜水艦協力は、豪州の安全保障上の利益となると考えて良いでしょう。

 現在は無理でも、将来の同盟関係に向けて、一歩一歩、防衛協力を進めることは、日豪両国の国益にも適うものだと思います。

  
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