11月16日に投開票が行われる沖縄県知事選挙の主要争点となる、在沖海兵隊基地の再配置問題。「基地負担軽減」のみの視点で議論することは、安全保障上極めて危うい。
11月16日に沖縄県知事選挙の投開票が行われる。米軍施設が県土の約10%、日本全体の米軍基地施設の約75%を占める沖縄では、在沖海兵隊の再配置が主要争点となる公算が高い。
7月にハワイで行われたリムパック(環太平洋合同演習)での一コマ(REUTERS/AFLO)
しかし、再配置と並行して検討されるべき重要要因である「米軍の抑止力維持」に関する論議はほとんどない。 負担軽減のみを論じ、抑止力に言及しない議論は不完全である。マスコミ等があえて黙殺している節もあることから、この機会に米軍、特に海兵隊の抑止力に焦点をあてて考察する。
去る8月に米マリアナ統合軍司令官である旧知の米海軍少将の交代式へ参加するためグアムを訪問し、グアムの知事や政財学界首脳と懇談する機会を得た。主な安全保障の話題は、アジア重視政策におけるマリアナの重要性、北朝鮮のミサイル恫喝に対応した戦域高高度防衛(THAAD)ミサイルの配備と在沖海兵隊の移転であった。
海兵隊移転は転入隊員・家族数と地域経済への影響が中心であり、MV-22オスプレイは話題にもならなかった。在沖海兵隊の移転・再配置は、我が国はもとよりアジア太平洋地域全体の安全保障に大きな影響を与える。