2024年4月20日(土)

【WEDGE創刊25周年特集】英知25人が示す「日本の針路」

2014年11月11日

 1つ目は、日本ではマーケティングを広報や宣伝活動など企業活動のごく一部と捉えがちです。日本で成長力がある企業は、得てして営業が強い企業です。言葉を選ばずに言えば、強い営業とは、欲しくないモノでも売ってくること。マーケティングはその反対で、営業がなくても自然と売れる仕組みです。そのため、日本の資産でもある「強い営業」をさらに強くできるよう、企業活動全体を最適化する「広義のマーケティング」が求められます。顧客のニーズを知る調査、顧客の声を生かす商品開発、顧客が存在を知り特徴を理解する広告・宣伝・営業、消費者が入手しやすいチャネル、顧客維持のカスタマーサポート……この一連のプロセスによる「売れる」仕組みを企業内に構築し、部門間の連携を図るのです。

 2つ目は、米国では、DMPのようなベンチャー企業が開発したツールを積極的に活用する一方、日本は消極的です。完全な成果主義の米国では、成果を出すためにライバルが持っていないツールを使います。しかし、日本は導入による失敗を恐れる傾向にあります。グローバル競争の時代です。新しい技術を使って強い企業にしてほしいと思います。

 DMPはビッグデータを使ったマーケティングの基盤といえますが、一足飛びに、複雑で大きなDMPを目指さず、個々の企業にとって重要な顧客の嗜好を可視化させるところからスモールスタートさせていけばよいと考えています。今まで使わなかったからこそ、使えば絶対に強くなれる。さらに、DMPのデータ分析には、細かい作業を根気よく続ける姿勢が求められます。私は、そこに日本人の勤勉性が生かされ、欧米よりも優れたDMPが作れると考えています。

 最後に、25年後に向けたもう一つの目標。日本のホワイトカラーの生産性を高めることです。日本の労働生産性は、先進7カ国では1994年から19年連続で最下位。残業が多い一方で、アウトプットは少ないので、時間当たりの生産性を追求する必要があります。単純な仕事はITにまかせ、より付加価値の高い業務に移行させる取り組みを普及させようと、昨年8月、仕事の効率を上げるソフトウェアを開発する日本技芸を買収しました(談)。

  
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◆Wedge2014年5月号

 


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