――最後にお伺いしたいのですが、いろんな経験をされてきた佐藤可士和さんが、今後やりたい仕事は何ですか。
そうですね。ちょうど先日終わったのですが、内閣府の専門調査会で「『選択する未来』委員会」というのがあり、そのなかの、「成長・発展ワーキング・グループ」という委員会の委員をやらせていただきました。人や地域、ひいては日本全体を今後どうやって成長・発展させるのか、ということを議論する場でした。僕はそこで、「世界に向けてもっと日本をブランディングしていく必要がある」という提言をし、それが報告書に組み込まれました。
そういった政府係の役職をやりたいという意味ではなくて、もっと日本全体を世界に対してブランディングしていくために、どうやってコミュニケーションしていくべきか、そんなお手伝いはぜひしていきたいですね。
もちろん、ひとつの民間企業がグローバルに出ていくステージを一緒にやるというのもありますし、今回のワーキング・グループのように、国という大きなレイヤーで考えることもあるでしょう。
東京にオリンピック・パラリンピックがやってくるという絶好の機会に、何か国家的なプロジェクトに関わって、日本の良さを伝えていきたいですね。そういうことは目標としてずっと考えています。
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大きな志を抱く佐藤可士和氏であるが、目の前の打ち合わせに誰よりも真剣に取り組む人でもある。『佐藤可士和の打ち合わせ』は、単なるHow to本として読むのではなく、もしも大企業のトップと1対1でプロジェクトについて話し合う機会があったらどうするか。もしもオリンピックのような国家レベルの仕事のメンバーに選ばれたら、どのように発言するのか。そういった舞台に立つことを前提として読めば、また別の味わいがある本である。
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