ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、国立新美術館のシンボルマークデザインなど、さまざまな領域でクリエイティブな仕事を展開する佐藤可士和氏。それぞれの仕事のなかでは、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文代表取締役会長など日本を代表する企業の経営者と1対1での打ち合わせも数多く行い、1からコンセプトを作り上げていくという。
そういう意味では、佐藤可士和という人物はクリエーターでもあるが、有能なビジネスマンでもある。企業のトップからも共感を得るための、可士和氏の打ち合わせノウハウが、11月に発売された著書『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)にまとまっている。
今回は、『打ち合わせ』を鍵にして、経営者と仕事をする際などに参考となる仕事の進め方を可士和氏に話を伺った。
佐藤可士和氏
――著書のなかで、「『打ち合わせ』は非常に重要なクリエイティブな場だ」と発言されていたのが印象的でした。あえてお伺いしますが、打ち合わせにおいて失敗したと思うことはないんでしょうか?
失敗したというか、議論が別の方向に行ってしまったと思うことはありますね。それで、自分がなんとなく考えてきたようなことが全部無駄になってしまったというようなことはありました。
うまく話題を変えながら「こっちの方向でも議論していただけませんか?」と言えればよかったのですがうまく言えなくて、徹夜して作った案がバサッとゴミ箱に入るといったことは若い頃にはたくさんありましたよ。