2024年4月24日(水)

患者もつくる 医療の未来

2015年1月7日

 「所定の要件」が具体的にどのように緩和されたかについては、少し専門的になりますが、これまでは、「アシドーシス(酸性血症)」になっているか、または、出産時の胎児心拍数を示すグラフに2種類以上の異常所見が見られるか、どちらかの要件が必要でしたが、今年からは、これら以外にも、胎児に何らかの低酸素状況があったことをうかがわせる所見が何か1つあればよい、と緩和されました。

誕生日によって新旧の基準の適応が変わる

 この補償制度への申請手続きができる期間は、1歳の誕生日(極めて重症の場合は生後6カ月)から5歳の誕生日までと決められています。

 今年の1月1日から補償対象となる子の範囲が拡大されたわけですが、古い基準が適応されるか新しい基準が適応されるかは、申請日ではなくて、子どもの誕生日によって決まります。つまり、制度が始まった2009年1月1日から2014年12月31日までに生まれた子どもには古い基準、そして、今年の2015年1月1日以降に生まれた子どもには新しい基準が適応されるわけです。

 大切なことは、申請手続きが「5歳の誕生日まで」と期限が決められていることです。したがって、2009年1月1日~同年12月31日に生まれた子どもは、既に申請期限が終わってしまっています。そして、2010年に生まれた子どもも、今年の2015年に入って、毎日毎日、1月1日生まれの子どもから順に、申請期限が切れていくことになります。

 既に申請期限が切れた2009年では、結局1年間に何人の子どもが補償対象となったのでしょうか。

 昨年12月18日に開催された産科医療補償制度の運営委員会で、制度初年の2009年に生まれた子どもの申請状況等について報告がされました。

 それによると、昨年12月5日までに審査を終えたものが、522件あり、その内の77%の404件が、補償対象になったということです。また、その時点で、申請されていたけれども審査を終えていない件数が37件、申請が届いていないけれども、申請の準備中であることが把握できている件数が7件でした。

 2009年に生まれた子どもの補償件数が正確に確定するのは、全ての審査が終わる今年の春頃になるでしょうが、ほぼ450件弱になるだろうということがわかったと言えます。

 しかし、この制度は、当初、年間の補償件数は500~800件と想定されて始まりました。また、2013年7月に、改めて推計し直された際も、340~623件とされ、その中央値は481件とされていましたので、少し少なく感じます。


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