エネルギー資源を安定的に調達したい中国
中国企業は何故海外投資を行うのだろうか。その最大の理由の一つは、国の安全保障に繋がるエネルギー資源の確保だろう。中国は、既に米国を抜き世界最大の原油輸入国になったと言われている。石炭も11年に日本を抜き世界最大の輸入国になった。天然ガスも07年に輸入国に転じた。エネルギー資源を安定的に調達することは、まだエネルギー需要が大きく伸びている中国にとって極めて重要な課題になっている。
エネルギー資源確保のために、中国が目をつけたのがアフリカだった。アフリカ西部の産油国アンゴラには石油確保のための投資は無論のこと、都市建設まで行う力の入れようだ。中国が輸入する原油の第1位の輸出国はサウジアラビアだが、アンゴラは第2位14%のシェアを持っている。習近平主席が就任直後に訪問したタンザニア沖には、大規模な天然ガス田が発見されている。
エネルギー資源確保のためには資源国との関係作りが欠かせない。そのためにはエネルギー以外の分野への投資も必要だ。その結果、中国の投資残高の多いアフリカの国は、アンゴラ、ナイジェリア、タンザニア、アルジェリアなどの資源国になっている。
さらに、中国企業が必要としているのは技術と経験だ。表が示すように、多くの中国企業は設立後日が浅く、急速に発展しているために、技術も経営のノウハウも十分ではない。経験のある海外企業を買収することにより技術、ノウハウの獲得を狙うのも戦略の一つだろう。
欧州を買う中国企業
エネルギー資源、あるいは経営のノウハウを獲得するための海外投資であれば、世界を買うと非難されることはない筈だ。バブル期の日本企業が非難されたのは、札束で頬っぺたをひっぱたくような買い方で、買収を行ったからだ。いま、中国企業はそんな買い方はしていない。それでも非難されることがあるのは、何故だろうか。
それは、リーマンショックとギリシャ危機で資産価格が下落したポルトガル、イタリア、スペインなどの国で、安値で資産を買っているからだ。むろん売る方にも事情があり買い手が責められる理由はないが、外国人が資産を持つことにおもしろくない人はいるだろう。まして、バブル期の日本と同様に、投資額が急速に伸びればなおさら目立つ。