2024年7月20日(土)

Wedge REPORT

2015年1月21日

 原油価格の下落は、エネルギー・コストの低下という世界経済へのプラス材料だが、今回は3つのマイナス材料に留意せねばならない。

 1つ目は、世界に広がるディスインフレ傾向をさらに加速させてデフレ懸念を強めかねないことだ。物価下落に怯えて大胆な緩和政策を続けているのは日本だけではない。ユーロ圏ではデフレが目前に迫り、経済が好調な米国も2%という物価目標がなかなか達成できない。またディスインフレの傾向が強まってきた中国は、過剰設備や過剰債務といった危うい経済構造にあるにもかかわらず、デフレを恐れて過剰な金融緩和へと舵を切り始めている。

 2つ目は産油国の財政不安や米国新興エネルギー企業の財務不安が資本市場を動揺させる可能性があることだ。既にロシアは市場の厳しい洗礼を受けているが、ベネズエラやイラン、イラクなども財政状況は苦しい。また事業採算ポイントが高い米国新興企業も、債務返済の負担が重くなっている。

 3つ目は、石油開発企業が設備投資計画を凍結し、経済成長にブレーキが掛かるおそれのあることだ。ゴールドマン・サックスは、世界全体で約1兆ドルの投資が見送りになる、との推計を公表している。原油安は再生エネルギー企業の経営をも脅かし、同事業の投資が大幅に縮小する可能性もある。

 こうした状況が、低迷する世界経済の中で「独り勝ち」と言える米国への逆風となれば、日本にも影響が無いとは言えなくなる。昨年の米国経済は、第1四半期こそ悪天候の影響で成長率は前期比マイナス2.1%と不振であったが、4~6月期は同4.6%と急回復を見せ、7~9月期は5.0%と更に拡大している。

2015年は米経済のみが好調で、マネーのドル回帰が進むことが予想される (GETTY IMAGES)

 14年通年の成長率は2%を上回った可能性もあり、市場では15年は2.5~3.0%といった予想がコンセンサスとなっている。従来の景気回復ペースと比較すれば控えめな成長率ではあるが、他の先進国や新興国と比較すれば、かなり安定的で高い経済成長と言える。雇用も着実に改善している。


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