2024年7月22日(月)

Wedge REPORT

2015年1月21日

 米国経済の強みは、消費・雇用・生産・住宅・金融といった幅広い範囲で景気拡大が観測されていることである。そこには、08年の金融危機後に採用されたゼロ金利政策が大きく貢献している。米国の場合、ジャンク債やレバレッジド・ローンといった資本市場が発達していることから、ゼロ金利政策による低コスト資金が経済社会に行き渡り易くなっている。それに加えて、量的緩和という大胆な金融政策が株価や住宅価格を押し上げて消費意欲を刺激するという、資産効果も生まれた。原油価格の急落も、家計への思いがけないプレゼントになった。

 今年も好況が続きそうであり、FRBも利上げ姿勢を崩していない。だが、上述した3つのマイナス材料が株式やジャンク債など資産価格の下落を含む資本市場の崩れを呼び込めば、成長ペースが失速する波乱も有り得る。

 また、6~7月あたりにFRBが利上げを行うとの市場予想に反して利上げが大幅にずれ込むとの思惑が強まれば、ドル高に傾いている相場観が一気に転換し「リスクオフ」の嵐の中でドル円が一時的にせよ急速に円高方面へと切り返されるシナリオも無いとは言えない。

 それは、「円安期待」に安住する日本経済や株式市場にとってかなりのショックを与えるだろう。反対に、原油市場が早期に落ち着きを取り戻し米国の利上げが前倒しされて市場が動揺する可能性も僅かながら残っている。不確定要素は、昨年よりも多い。

日本経済は「回復」するが・・・・・・

 日本経済に目を転じてみると14年は個人消費の低迷と設備投資の不振、そして円安でも増えなかった輸出という諸点で、内外から失望の声が漏れた年となった。金融緩和という一本足打法は、円安や株高といったヒットは打てても、日本経済の再生という大量得点を生む打球を放てるものでないことも露呈した。

 だが、今年の経済環境は政府の舵取りが多少拙くても自律的な改善が見込めるように思われる。昨春の消費増税の影響が和らぎ、増税が先送りされたことで個人消費が上向く可能性が高いからだ。設備投資も大手製造業を中心に徐々に回復基調を辿るだろう。円安効果で海外からの旅行客が増えることは確実であり、輸出に対する円安効果も昨年以上に拡大する可能性はある。

 一方で、実質賃金が下落する中で円安に伴う輸入コスト増が家計を苦しめ続け、内需型サービス業の収益を圧迫して円安倒産が増加するという、ネガティブな状況も継続することになろう。つまり、マクロの経済状況は改善するが、ミクロな世界ではその置かれた状況によって景況感が大きく異なる年になりそうだ。個々の立場で見る好不調の「経済的格差拡大」は、昨年以上に顕著になるだろう。

 その歪な経済構造の形成に一役買っているのが、日銀による「異次元の金融緩和政策」の継続である。13年4月に導入された巨額の国債買い入れ方針に続き、昨年10月末には第二弾が放たれて、ドル円は12月に入って一気に120円台を突破した。


新着記事

»もっと見る