2024年12月7日(土)

解体 ロシア外交

2015年1月13日

 昨年末からロシアの経済状況がかなり深刻になっていることが日々伝えられている。ロシアは昨年のウクライナ危機深刻化まではG8メンバーであり、BRICSを牽引し、主に欧州のエネルギー輸入元となっているなど、世界での経済ポジションの大きさは小さくなく、ロシアの経済状況は、ロシアのみならず国際的にも影響を及ぼしつつある。

 ロシアは2000年頃から、石油価格の上昇を受け、ソ連解体後の経済の停滞から脱し、経済大国としての評価を確立した。だが、2010年頃から資源の輸出は2009年以前のように強力な経済成長の源とならなくなっており、2013年頃からは経済成長率の予測もかなり低いものとなっていた。そしてそれを一番認識していたのはロシアかもしれない。表1のように、2013年の各種経済成長率の予測を比較すると、ロシア発のもの(ロシア連邦経済開発省(MED)によるもの)が一番低く、実際、MEDは2013年11月に予測を下方修正していた。つまり、2013年の時点で、経済成長率の鈍化が顕著になっていたことはロシア当局も明白だったと考えられる。

2014年に相次いだ「誤算」

 加えて、2014年には、想定外の出来事が相次いだ。まずはウクライナ危機である。ロシアのクリミア編入やウクライナ東部への介入により、欧米諸国は対露制裁を段階的に強め、またロシアもそれらに対し報復措置をとった。ロシア当局は当初、制裁の影響は軽微で、国内経済へのテコ入れと欧米以外の諸国との経済関係強化により経済的難局を乗り越えられるとしていた。具体的には中央での計画立案の強化およびビジネスへの介入、輸入を減らすための国内の農業や漁業を強化などにより国内経済の強化のみならず、食料自給率向上も達成できるとしていたのだ。

 また、これまで欧州諸国から輸入していた農産物、畜産物、魚介類については、自給率を高める一方、BRICS諸国、南米諸国、トルコ、インドなどからの輸入で代替するとしており、この動きについても「ロシアの経済の多角化」「米国主導の経済システムを打ち壊す一プロセス」として、やはりポジティブなものだと強調していた。だが、それらの発言は単に虚勢を張っていたとしか見えない状況が展開されていく。

 次にロシアを苦しめることになったのは原油価格の激しい下落である。そして、原油価格が低下するにつれ、ロシアの通貨・ルーブルの下落も激しくなっていった。2014年12月に入り、ロシアも経済状況の深刻さを認めざるを得ない状況になり、2日には、ロシア経済発展相が2015年の国民総生産の成長率を、従来のプラス1.2%という見通しから、マイナス0.8%成長と大きく下方修正した(さらに、ロシア財務相は2015年の経済成長率をマイナス4%になる可能性がある見通しを示した)。

ルーブル安で窮状を訴える外貨建てローンの債務者たち
(写真:AP/アフロ)

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