2022年7月1日(金)

解体 ロシア外交

2015年1月13日

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批判される中銀と解決策を欠くプーチン

 このようにロシア経済が混乱する中、ロシア中央銀行(中銀)と政府も対策に躍起となっている。

 だが、中銀の11月の決定は、ルーブルを更に急落させた。変動相場制に移行させたのである。それまで、中銀はルーブルのレートが安定するまでルーブル買いの介入を行っていたが、変動相場制に移行させたことにより、もはや本格的な通貨介入、すなわちロシア市場におけるドル売り介入を実施しないこととなったのだ。それによりルーブルに対する投機が防止できると中銀は説明したものの、ルーブルは急落した。

 そして中銀は、12月12日に政策金利を9.5%から10.5%に引き上げたが、15日のルーブル相場は、その前の週に決定された利上げ幅への失望感などにより急落した。それを受け、ロシア中央銀行は16日未明に政策金利を10・5%から17%に大幅に引き上げると発表した。ルーブル安に歯止めをかけて投資家の動揺を抑えようとしたのである。この17%というのは、ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥った1998年以来で最も大幅な利上げである。前の金利引き上げからわずか4日後の大幅利上げ、しかも真夜中の決定というのは、ルーブル防衛のための強い意思が感じられる。

 また政府は有価証券を担保にした外貨供給も増やし、12月中旬以降だけで50億ドル(約6000億円)以上の市場介入も実施した。

 このような中で、プーチン大統領は、12月18日に年末恒例の大規模な記者会見を行ない、通貨暴落は外的要因によることを強調し、問題の25~30%が制裁の影響であるとした。具体案はなかったものの、資源依存が高い経済構造から脱し、経済を多角化した上で、この状況を早期に脱するとして国民の不安の打ち消しに努めた。一方で、中銀の措置は概ね正しいとしながらも、対応が遅れたという認識もにじませ、またロシア経済が上昇に転じるまでに最悪で2年ほどかかるとし、経済危機の長期化の可能性も示唆した。

 そして中銀は24日には、国内企業にユーロ建ての低金利融資を実施すると発表し、対外債務の返済を支援し始めた。ロシアの政府系・民間の企業には併せて6000億ドル(約72兆2000億円)の海外債務があり、そのうち1000億ドルが2015年に返済期限を迎えるからである。

 さらに26日には経営難にある中堅トラスト銀行への資金繰り支援策も発表することも発表した。トラスト銀行に最大1270億ルーブル(約2830億円。うち、990億ルーブルはトラスト銀行の資金繰りを10年間支えるため、280億ルーブルは同行を引き継ぐ受け皿会社に融資。なお、中銀は22日に同行を管理下に置き、最大300億ルーブルの支援をすると表明していた)の緊急融資を実施し、2020年末までに別の中堅銀行オトクリチエに吸収合併させることを決めた。さらにオトクリチエに最大280億ルーブルの資金を支援するという。

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