プーチンが東部ウクライナでの戦闘を拡大すれば、金融市場は圧力を強めるだろう。ロシア企業や団体が西側で借入できず、銀行は破産し、誰もルーブルを持ちたくなくなった時、プーチンは侵略を止めるだろう、と述べています。
出典:Roger C. Altman‘Stopping Putin Without Firing a Shot’(Wall Street Journal, February 10, 2015)
http://www.wsj.com/articles/roger-altman-stopping-putin-without-firing-a-shot-1423613561
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この論説は、金融制裁を強化して、ロシアに圧力をかけるべきであり、その効果はあるだろう、と述べていますが、おそらくその通りなのでしょう。
プーチン大統領は、ロシアがソ連のような自給自足経済ではないこと、ロシアの経済力が脆弱なことを十分に意識していないきらいがあります。この点をプーチンにわからせるべきで、金融制裁の強化は適切なことだと思います。
ウクライナへの武器支援については、その場合のロシアの反応を見極めないと、危険なことになります。紛争の軍事面については、軍事介入を忌避しないロシアにとって有利な局面であり、紛争のエスカレーションになる恐れがあります。最終的には、その覚悟もすべきでしょうが、今はもっと金融制裁のような手段に力点を置くべきでしょう。アルトマンに賛成です。
2月11日に、仏、独、ウクライナ、ロシアの4カ国首脳会議がミンスクで開催されました。そこでは、新たな停戦合意とウクライナ東部における重火器の撤去等が決められました。英国がこの会談に出席しなかったことは、やや残念に思います。ウクライナに核放棄をさせたブダペスト合意で、ウクライナの領土保全に保証を与えたのは、米露とともに英国でした。
いずれにしても、ロシアは、ウクライナ問題、石油価格下落、優秀な人材の海外移住などを経て、衰退していくのでしょう。医療、教育は劣悪で、政治的自由は制限されていますし、汚職の蔓延など、プーチンのロシアは、若者に魅力のない国になっています。海外への移住者は、優秀な若者が多いようです。プーチン大統領への高い支持率も、メディア統制などの結果で、そのまま受け取れるものではなさそうです。
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