アジア経験の長い投資家、ジュリアン・スネルダーが、ナショナル・インタレスト誌ウェブサイトに5月15日付で掲載された論説にて、中ロはともに独裁国であるので、指導者の交代で関係は激変しうる、予期しがたく、安定した関係にはなりにくい、と指摘しています。
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すなわち、習近平は数年前、プーチンに「中ロ関係は世界一重要で、かつ最善である」と述べた。対独戦勝祝賀会では、両国の絆が再確認された。
しかし、この関係を「便宜的枢軸」と片付ける人もいる。また両者の力関係の不均衡を指摘し、ロシアは従属的立場を受け入れないという人もいる。さらに、両国は中央アジアで衝突するとか、中国は「不平等条約」で失った領土を忘れていないという人もいる。
それゆえ、中ロ接近の意義には議論の余地がある。
中ロ両国においては、歴史意識や世論形成に公式プロパガンダが果たす役割が大きい。中ロの民族的「物語」は重複した点もあり、双方のメディアがそれを増幅させうる。たとえば戦争中の愛国的犠牲や、家父長的温情主義の伝統は両国に共通である。両国の違いより、共通の不満(バルカンへのNATO介入、米のイラク戦争、民主化策謀など)が強調されている。日本もまた古くからの敵である。
中ロは安全保障面でもお互いに支援しうるほか、経済面では相互補完的である。トレーニン氏は、プーチンの欧州との決裂は最終的で、ロシアは「大アジア」に向かうという。
他方、中ロで共通なのは長い国境、共産主義の過去、共通の敵の3点しかなく、アメリカへの対抗が両国のアイデンティティを決めているという人もいる。
中ロ同盟はビスマルクが言ったように、騎手と馬の関係になろう。