WEDGE REPORT

2015年6月11日

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 主な作戦を挙げてみると、リビアでのナイロビ爆弾事件の主犯を拉致、ソマリア海岸でのテロ組織アルシャバーブへの攻撃、キプロス沖でのリビアのタンカー急襲、シリアの米人質救出作戦、イエメンでの米人質救出作戦、そして先月のシリア東部のイスラム国の拠点急襲などだ。

 特に直近の5月16日深夜に敢行された作戦では、イラクから武装ヘリ、ブラックホークとオスプレーに分乗した約20人のデルタ・フォースが闇に紛れて拠点を襲撃、銃撃戦の末、同組織の経理責任者アブ・サヤフを殺害、その妻のウム・サヤフをイラクに拉致し、パソコン、携帯電話など多数の証拠品を押収した。

 アブ・サヤフは「米犯罪史の中の伝説のギャング、アル・カポネの経理マンのような存在」(米紙)といわれるように、石油の密売など組織の資金活動や資金管理を担当していたチュニジア人幹部だ。拘束されてイラクで米捜査官の尋問を受けている妻も西側の人質事件に通じた人物だとされる。

情報を伝達する運び屋(クーリエ)
として妻たちも重要な役割

 米紙などによると、押収した証拠品の中には、米国がこれまで知らなかった貴重な情報が含まれていた。情報の“宝庫”とも言える可能性がある。この情報により、米軍はアブ・ハミドという組織の有力幹部のシリアの潜伏先を突き止めて5月31日に空爆、殺害したことが濃厚だという。

 また指導者のアブバクル・バグダディに関しても貴重な情報を入手したもよう。バグダディの動向や、いかにして米軍の空爆を回避しているのかなどの一端も明らかになり、幹部らがバグダディと会う時には、居場所を特定されないよう携帯電話などすべての電子機器が没収される仕組みだという。またバグダディを含め組織の上級幹部の妻たちが米国の交信傍受を回避するため、情報を伝達する運び屋(クーリエ)として重要な役割を務めているようだ。

 すでに米情報当局はイスラム国の首都ラッカにある組織の中枢部門が入っている7つの建物を特定しているが、これらの建物には多数の住民が入居している上、何人かの西側の人質も収容されており、これらの人たちを巻き添えにする恐れが強いことから空爆ができないでいる。となれば、民間人の被害を最小限にするため、特殊部隊の投入も十分考えられるだろう。

 6日付の米有力紙ニューヨーク・タイムズは、闇に包まれた特殊精鋭部隊「シールズ第6班」の実態を長文の特ダネとして報じたが、世界が驚がくするような秘密作戦が近く、実施されるかもしれない。

  
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