田部康喜のTV読本

2015年7月8日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 若者たちには、切り拓くべき地平は見えてこない。過去を美化するのは間違っているだろう。しかし、彼らの閉塞状況はいま、戦後の歴史のなかで最も過酷ではないのか。

 金融ビジネスのなかで、カネの流れを手中に入れ、起業によって自己実現できる若者は、一握りに過ぎない。

 諦めのなかで、ジリジリとした焦燥感に焼かれるような気持ちでいるのではないのか。現代の青年たちは。

ライトは50人以上もの人間をデスノートによって、殺していく。彼の前に立ちはだかるのは、世界の未解決事件に挑むL(山崎賢人)である。ライトの殺人をあばき、ライトを追いつめていく。

 Lとライトの戦いは、正義と悪の戦いとして描かれてはいない。そこにまた、現代の若者たちの苦悩があるのではないか。

 正義とはなにか。社会は正義によって運営されているのか。若者たちを取り巻く環境は、単純にその答えをだせそうにもない。

 ライトとLの戦いを上から眺めるようにして、謎の美少女ニア(優希美青)が登場する。どちらが勝つのか楽しんでいるようである。

 ニア役の優希は、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」(NHK)のご当地タレントのユニット・GMTの一員だった。その後、ドラマと映画の出演が続いている。

 ドラマは、この3人の視点が絡み合って、重層的に若者たちの希望と挫折の物語が綴られていくのだろう。

 父親ながら刑事として、大量殺人事件の犯人としてライトを追っていく、松重豊の渋い演技と、妹役の藤原令子の可憐さも見どころになる。

  
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