米ワシントン・ポスト紙は、6月16日付社説で、テロリスト殺害をメインにするオバマの対テロ政策では問題は解決しない、特にリビアでは政治的解決が不可欠であり、オバマ政権は確固とした取り組みをすべきである、と主張しています。
すなわち、6月14日、米国防省は、米国の空爆によりアフリカで最も危険なテロリストであるモフタータル・ベルモフタール(2013年のアルジェリア人質事件を主導)が死亡したと思われると述べた。イエメンではアルカイダ指導者が米のドローンで殺害された。過激派指導者が居なくなることは良いことだが、リビアとイエメンの危機的状況が解決されたわけではない。オバマ政権の反テロ政策の効果の限界を示すものだ。
オバマはリビア、イエメン、ソマリアにいる反米テロリストへのドローン攻撃は許可してきた。しかし、安定的な政府樹立のための努力は不充分だ。その結果、これら三国はアルカイダとISの活動員リクルートの場所となり、イエメンとリビアはますます暴力的な状況になっている。
リビアは特に懸念される。リビアでは、二つの軍と政府(世俗派政府とイスラム派政府)が対立しており、背後にはそれぞれ海外のスポンサーが付いている。対立激化のため、経済の生命線である石油生産も極端に縮小している。
混乱の中、北アフリカからの経済移民はリビアの海岸地帯に集結し、密輸業者の手によって違法移民となり欧州に向かっている。今年の夏、約50万人が地中海を渡るだろうと予想されている(途中で既に数千人が死亡)。
人道危機とテロ脅威防止のためには、リビアの政治的解決が不可欠だ。しかし、米欧の努力には力が入っていない。オバマ政権と同盟国は、レオン国連特使に任せきりだ。先週、同特使は、数カ月の交渉の末、統一政府樹立のための調停案を出したが、西側が承認するトブルクにある世俗派政府はそれを直ちに拒否した。レオン特使は努力を続けているが、国連には、米やNATO(カダフィ政権崩壊後過早に撤退してしまった)のような力はない。
オバマ政権はトブルクの政府とその支援者であるエジプトにもっと圧力をかけるべきだ。国連調停案をのまない場合は石油収入の差し押さえや同政府指導者に対する制裁で以て迫るべきだ。更に、西欧側は、リビアの軍隊によるISなどジハーディストとの戦いを如何に支援できるかにつき検討すべきだ、と主張しています。