2024年4月18日(木)

メディアから読むロシア

2015年7月21日

「クリミアなう」

 ところで、セルフィー好きは一般の若者ばかりではない。

 ロシア語で「兵士 セルフィー」などのキーワードを入れて画像検索すると、軍の施設や演習場で撮られたと思われる画像が大量にヒットする。

 日本よりもはるかに機密保持の厳しい国で一体どうなっているのかと思うが、何故か兵士が勤務中にセルフィーを撮るのは割と黙認されているらしい。

 その最たる例が、昨年2月、ロシア軍がクリミア半島を占拠した直後にVK(ロシア版Facebookと呼ばれる大手SNS)に投稿された一枚の写真だった。

 「クリミアなう」 

 とロシア語で投稿したのは、全ロシア軍中でも最精鋭の参謀本部直轄特殊部隊「特殊作戦軍(SSO)」の兵士だった。

 当時、ロシアはクリミアへのロシア軍派遣を否定し、議会等を占拠しているのはあくまでも「自警団」であるとの立場を取っていたが、これでは政府が何を強弁しようと台無しである(ロシア政府は後になってクリミア半島にロシア軍を投入していたことを認めた)。

 さらに同年夏、ロシアの支援を受けて戦っていたドネツクやルガンスクの親露派武装勢力がウクライナ軍の攻勢で劣勢に陥ると、ロシアは戦車や防空システム等の重装備に加えて多くのロシア兵をウクライナ南東部に派遣するようになった。

 この際も、ある兵士の投稿するセルフィーのジオタグ(位置情報)がロシア国内のロストフ州から隣接するウクライナ側へと変化し、ロシアの関与を示す、動かぬ証拠となった事例がある。


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