2024年12月23日(月)

今月の旅指南

2015年8月21日

 画中に描かれた文字、グリッド(格子)で構成された空間、単純化された奇妙な天使たち。スイス出身の画家、パウル・クレーの描く絵画は、さまざまな不思議に満ちている。そんなクレー作品の謎をテーマにした展覧会「パウル・クレー だれにも ないしょ。」が、兵庫県立美術館で開かれる。

パウル・クレー《小道具の静物》1924年パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom

 スイス・ベルンにあるパウル・クレー・センターのコレクションをはじめ、日本初公開の31作品など、約110点の国内外のクレー作品が集結。このなかには、画家自らが「特別クラス」にランク付けした愛蔵品約40点も含まれる。

 会場は、「秘密」をキーワードに6つのテーマに分けた章で構成。例えば第1章「何のたとえ?」では、矢印やフェルマータなど記号的なモチーフと比喩の関係に注目、第2章「多声楽(ポリフォニー)─複数であること」には、「赤のフーガ」など、バイオリンの名手でもあったクレーならではの「音楽を描いた」作品が並ぶ。また、第3章「デモーニッシュな童話劇」では、「小道具の静物」など、デモーニッシュ(魔的)でありながら童話のような世界へと誘われる。
「芸術とは、目に見えるものを再現するのではなく、目に見えるようにすること」。そんなクレーの言葉に導かれて、謎の世界に近づいてみたい。

パウル・クレー だれにも ないしょ。
<期間>2015年9月19日~11月23日
<会場>神戸市中央区・兵庫県立美術館(JR神戸線灘駅下車)
<問>☎078(262)0901
http://www.artm.pref.hyogo.jp

*情報は2015年7月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2015年9月号より

 


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