7月16日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、同紙国際問題編集長のデイビッド・ガードナーが、サウジのワッハーブの教条主義者とISのスンニ至上主義者とが、どちらがシーア派をより厳しく懲らしめるかで競っている、と述べています。
すなわち、サウジは、イランとその代理人が、米国のイラク進攻、アラブの春などがアラブ地域にもたらした騒乱につけこんで、バグダッドからベイルートまでシーア派の枢軸を作り上げたのを、ただ愕然として見守るだけだった。
サウジは、イランがイエメンでの反乱に大した役割を果たしていないのを知りつつ、反乱の後ろにイランがいるとして、イエメンを空爆した。イエメンでの戦争は、米国や他の主要国がイランの核開発問題でイランと取引をしたことに対する強い不快感の表明である。アラブ政府筋によれば、最近死去したサウジのサウド外相は、ケリー長官に対し、「ISは米国のイラクのシーア派政権支持に対するスンニ派の回答である」と述べた。
サウジのネットでの世論調査によれば、ISはサウジで驚くほど高い支持を得ていて、サウジにとって物理的な脅威であるが、サウジ指導者が主に恐れているのは、宗教的右派でISに出し抜かれてしまうことである。
したがって、サウジのワッハーブの教条主義者とISのスンニ至上主義者とが、どちらがシーア派をより厳しく懲らしめるかで競っている。
ISの指導者のアル・バグダディは、サウジのイエメン作戦は「瀕死の者のあがき」であると述べ、アラビア半島のイスラム国民はISがシーア派から守ってくれるとしてISを頼りにしている、と言っている。
ISは暴言を吐いた後行動を起こすのが常であり、5月にサウジの東部地区の2つのシーア派のモスクを爆撃し、その後クウェートのモスクにサウジ人の自爆テロリストを送り、シーア派を殺害した。