定年バックパッカー海外放浪記

2015年9月27日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年、横浜生まれ。神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

 静かなある日の午後、遊歩道わきの小さな公園でブランコに乗っている東洋系のカップルがとても楽しそうだった。蒼い空を背景にブランコに揺られて。このマカオの新婚さんはまるで普段着で休日に近所の公園で遊んでいるような自然体の幸福感に満ちていた。

マカオから来たカップルに割り込む筆者

 当然日本人新婚カップルにも遭遇するが、必死にお店か何かを探していたり、脇目も振らずに足早に歩いていたり、ハードスケジュールに疲れ切っていたりと、どうも話しかけにくい雰囲気のカップルを散見。

 大阪から来たというある新郎は疲れた表情で「ヨーロッパはどこでも食事は口に合わないし、特にギリシア料理は脂っこいし、ホテルとかみんな不親切だし日本語は通じないし、天気は暑いか寒いかの両極端だし・・・」と散々な様子でマイルドセブンをせわしなく吸っていた。傍らの新婦は無言でガイドブックを睨みながら見落とした名所はないか必死でチェックしていた。こちらまで何かやりきれない気分に落ちこんだ。

 ある時、スタイリッシュなカップルが歩いてきたので香港あたりのお金持のボンボンのカップルであろうと“ニーハオ”と声を掛けると反応がない。“アニョセヨ”と呼びかけても無反応。ついに“Where are you from?”とゆっくり尋ねるとなんと「ジャパン!」とのこと。

イオの白い街並みを背景に佇む素敵な新婦さん

 埼玉から来た新婚さんとのことで新郎は私の長男と同い年。思わず1年前の長男の結婚式が脳裏によみがえる。気分はすっかり新郎の父になり「両家を代表しまして一言ご挨拶をさせていただきます・・・」と諳んじていたスピーチを披露。新郎新婦はサントリーニに到着したばかりというので、さっそく“新郎の父”は俄かガイドになり遊歩道周辺をご案内。

 大宮出身の新郎と池袋育ちの新婦、二人とも都会的で会話のテンポが早く滅茶苦茶楽しい。彼らのように旅の中でその瞬間その瞬間を楽しめることは一つの貴重な才能であり能力であるように思う。柔軟な思考能力や鋭敏な感受性などに恵まれているのだろう。幸せ全開の二人から“幸せのお裾分け”をいただいたひと時であった。

⇒第7回に続く

  
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