8月29日付の英エコノミスト誌は、「歴史の使い方――日本の20世紀の拡張主義についてのアジアの見解はすべて否定的ではない」との記事を掲載し、安倍総理の戦後70周年談話について論じています。
すなわち、李登輝元台湾総統は、日本の雑誌にしたコメントへの敵意ある反応に驚いている。彼は、台湾の現政府が第2次大戦終結70周年を記念するのは「日本を困らせ、中国を喜ばせるものである」と批判し、台湾の若者は日本と戦ったのではなく、日本のために戦ったと述べた。馬英九現総統は李登輝批判を始め、中国は「馬鹿げた発言」と嘲笑した。歴史的には李元総統の指摘は的を射ている。
台湾は1895年に日本に割譲され、日本の統治下に入った。1945年に中国に復帰したが、内戦で敗北した国民党の最後の砦になった。李登輝は国民党の指導者になったが、彼の日本好きは良く知られている。彼の兄は靖国に祭られている。彼のような見解は台湾では普通である。アジア全体でも、日本の植民地の歴史には多義的な感情が見られる。
中国は、9月3日に軍事パレードで70周年を記念する。安倍総理の欠席は理解できるが、それは日本が戦争中の犯罪を受けとめていない印象を与える。
隣国との関係に歴史が障害にならないようにする安倍の試みはうまくいかなかった。過去の謝罪を堅持したが、中国は「誠実さ」に欠けるとし、朴大統領は「期待外れ」とした。安倍の失敗の理由の一つは、中韓では、彼は歴史修正主義者として知られ、戦犯であった祖父、岸信介を尊敬しているからである。
談話は罪の否定の試みとも読める圧縮された20世紀の歴史の文脈におかれた。彼は、日本がアジアで立憲政府を初めて作り、日露戦争の勝利で、アジアとアフリカの植民地支配下の人民を元気づけたと述べた。その後、恐慌と西側の保護主義ゆえに「間違った道」を歩み、国際秩序の「挑戦者」になったと述べた。
これは日本の極右が好む物語である。日本は植民地主義者ではなく解放者、第2次大戦では侵略者より犠牲者であることを示唆する。この物語は日本の近代化が毛沢東やネールを鼓舞した事実で強化される。戦時中、自由の戦士、ビルマのアウンサンやインドのチャンドラ・ボースは日本と同盟関係を結んだ。