家電口論

2015年9月29日

»著者プロフィール
閉じる

多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

日本の得意技では?

 Iotの技術、日本は大得意なのですが、こと白物家電についてはあまり進んでいません。エネルギー施策で欠かせないHEMSにしてもそうです。なぜでしょう? それは「必需品でない限り新しいモノは嗜好品から入る」のと、「新しい世界を示すことができない限り爆発的には売れない」という2つのルールに対する認識が甘いのではと思います。

 このルールを念頭に置いてみると、今の白物家電で新しい必需品はないです。今のままでも充分生活はやって行けているのですから。またHEMSなどは個人レベルの新しい世界を見せてはいません。皆が使うようになれば、世界としては様変わりするのですが、個人レベルでの激変はそんなに大きくはありませんから。

 今、IFAでコーヒーメーカーが示しているのは、嗜好品のIotです。これはわかりやすいし、欲しい! 要するには、日本メーカーは「Iotになった時のサービス」の発想が不十分なわけです。また、それを提示する時でも、「とりあえず感」満載です。

 今回、LGは冷蔵庫の中身が戸を開けなくても分かる機能(サービス)を提供していました。これは日本のT社が提唱済のサービスです。T社のデモは正直、画が悪かったです。お金を払っても欲しいモノではありませんでした。ところがLGのデモは「ムダにスゴイ」と言える画。こうなると、ユーザーは受け止め方が変わってきます。ちょっと真剣に考えます。

IFA 2015に展示されたLGの冷蔵庫コンセプトモデルにつけられたディスプレイ。冷蔵庫の中身が手に取るように分かる

 日本の技術は優秀だが、サービスが魅力的でないことは、度々指摘されますが、確かにその通りで、このため技術大国でありながら、海外に容易に勝てないというわけです。「お・も・て・な・し」は長い目で見ると攻めに転じますが、ビジネス的には守りのサービスです。

Iot化した白物家電は
メーカーごとの特長がなくなる?

 ところで、ネット道具の王道、PC、スマホは、一握りの特殊な製品を除き、余り差がありません。先ほどの、コーヒーメーカーでもサエコでもデロンギでも同じ設定を使うと、同じ味になるのでは、という指摘があると思います。では、PC、スマホのように、白物家電は段々メーカー特長がなくなるのでしょうか?

 個人的な予想では、多分、逆にメーカーの特長が出てくると思います。PCの場合、能力の多くはCPUで決まります。これの供給元が、そんなには多くない。PCメーカーとか、多々ありますが、CPUを作っているのではなく、それをいかに使うかで差を出しているわけです。ただ、これでは、CPUほどの差はでませんが……。

 ところが、白物家電は、多くの部品を自社で作っています。要するにメーカーごとで、能力が違うのです。このため、A社では使える設定が、B社では使えなかったりすることになると思います。そのメーカーごとの特長が今よりはっきり出てくると思います。

逆に操作は、同じになる可能性あり

 スマホとつなげられることをマスト条件にしますと、操作方法は一気に変わると思います。操作盤がなくなり、代わりにスマホと同じ大きさか、一回り大きいディスプレイが基本になると思います。実際、ハイアールはそうしていますね。ちなみに欧州のハイアールは、大型TV、PC、スマートフォン、スマートウォッチの販売も行うそうです。

 表示されるのは、スマホと同じコントロールソフトです。スマホは初心者でも使いやすいことが条件ですから、アプリは特有の癖を持たないことが条件です。日本メーカーの白物家電は、わりとマニュアルを読まなくても使えるモノが多いですが、それでも操作ボタンを探す時はあります。スマホだと、スペースが足らなければ、次の頁を使うことができるので、少ないボタンの押方を工夫することで対応、ということがなくなります。基本操作が一気に共通化される可能性もあります。

関連記事

新着記事

»もっと見る