ヒットメーカーの舞台裏

2015年11月3日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 イメージ自体は決してネガティブではなく、高カロリーや野菜不足などの懸念点を解消すれば、これまで敬遠していた層も開拓できる─という方向が見えてきた。さらに佐橋らは、コンビニなどの協力を得て売り場の観察や追加調査も行った。

佐橋育恵(Ikue Sahashi)
マーケティング部第7グループ ブランドマネージャー
1969年生まれ。92年に名古屋大学農学部を卒業し、外資系の日用品メーカーに就職。研究開発に従事した後、マーケティング部門に。さらに複数の化粧品会社等で計二十数年マーケティングに従事。「『食』の世界で幅広い人を対象にする仕事がしたい」と、2014年9月に日清食品に入社した。

 観察するうち、佐橋にはカップ麺のバリエーションは豊富だが「基本はトンコツなどラーメン味の展開。もしかしたら女子には食べたい味がないのでは」と映った。異業種から転じた佐橋ならではの視点だろう。そこから、たっぷり野菜と洋風の組み合せが浮上したのだった。さらに「麺をすするのを女子はカッコ良くないと思っている」との自分の経験も生かし、麺の長さは通常の半分にカットした。

 味や野菜の種類・量などのレシピを詰める過程では、ズッキーニなど同社にとっては初めての野菜もあり、安定調達の懸念が出てきた。麺が短いことによる製造プロセスの手直しも必要となった。14年末だった社内決裁の期限が迫るなか、これらの課題は研究所や購買など関係部門が全力でつぶしていった。

 そうしたプロセスで佐橋は「新しいことにチャレンジする企業風土を驚きながら実感」した。佐橋自身もこの業種ではチャレンジャー。未開拓の女子ファンを定着させ、即席麺を「真の国民食」にするのが夢だ。

(敬称略)

  
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◆Wedge2015年11月号より

 


 

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