次に”チャレンジング・ヒストリー”というカテゴリーで展示されているキャンディ・ノーランド、カラ・ウォーカー、デヴィッド・ヴォイナロヴィッチなどのメッセージ性の強烈な作品が並ぶ。
まさにポップ・アートのイノベーターであるロイ・リキテンスタインの『Interior with African Mask』。ブロードでは彼の有名作品を34作品を所蔵している
アートを通して、政治、経済、思想を具現化
ブロード夫妻はこういった社会的、政治的なテーマを内在する作品を継続的に収集しており、ザ・ブロードにおいてもこういった作品群がミュージアムとしての個性にエッジを効かせている。メイン・ギャラリーには米国におけるポップアートが、時代の流れとともに、次第に先鋭化していくプロセスが立体的に展示されている。アートというフィルターを通して、政治、経済、思想などが歴史に沿って具現化されているのだ。
1階のギャラリーは2000年以降、現在までに制作された作品で構成されている。何と言っても見ものは草間彌生の巨大な作品「Infinity Mirrored room-The Souls of Millions of Light Years Away」という長いタイトルの2013年の作品だ。木、金属、ガラス、鏡、アクリルなどの素材に加えて、LEDライティング・システムを大胆に用いたこの作品との出会いは、鑑賞ではなくまさに”体験”である。同じく日本人アーティストの村上隆の「DOB in the Strange Forrest」も注目の展示で、彼の他の展示作品も訴求力に溢れている。
様々な表現方法で独自の世界観をアピールする日本人アーティスト、村上隆の『DOB in the Strange Forest (Blue DOB)』。ブロードが所蔵する彼の11作品も独自の感覚が活かされたものばかりだ