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Wedge REPORT

2015年12月26日

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澤 昭裕 (さわ・あきひろ)

国際環境経済研究所所長

1957年、大阪府生まれ。1981年一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現在の経済産業省)入省。東京大学先端科学技術研究センター教授等を経て現職。21世紀政策研究所研究主幹も務める。

 この助言はこれまで重視されていないようだが、今後の除染のあり方や区域設定を検討する際、大きな拠り所となるものである。除染の合理化によって節約される財源は、インフラ整備や雇用・福祉関連施設の建設に充当できることも重要なポイントだ。

除染廃棄物と中間貯蔵施設

 除染に関する実際上の大きな悩みが、除染後の廃棄物の処理だ。仮置き場あるいは道路脇などに山積みされたフレコンバッグは、風景としても「汚染された土地だ」というイメージがつきまとい、原発事故からの復興を妨げる大きな足かせとなっている。仮置き場の地権者には期間限定で廃棄物を置かせてもらったという経緯もあり、搬出をしないということは確かにかなり難しい。しかし、一方で中間貯蔵施設の整備が遅れている中、焼却、搬出を待っていれば何年経っても問題が解決しないことが予想されるのが実態だ。

除染廃棄物仮置き場(Wedge)

 そもそも、ここ5年間の放射能の自然減衰も考慮すれば、いまや通常の廃棄物として処理できる8000ベクレル/kgの土壌も多いのではないか。

 除染廃棄物は双葉町・大熊町に建設される予定の中間貯蔵施設に搬入されることになっているが、約半分の除染土壌がそうした8000ベクレル/kg以下のものだと考えられている。中間貯蔵施設は、国と地元の2町が話合いに話合いを重ねてようやく建設にこぎつけた貴重な施設である。そうした施設だからこそ、汚染度の高い除染廃棄物を優先して貯蔵していく方針を決める必要がある。

 そもそも、除染作業で発生した場合(中間貯蔵施設)とそうでない場合(一般廃棄物処分場)で、同じ汚染度の廃棄物の処理方法が異なっている理由がはっきりしていない。全てを搬入すれば、焼却による減容化を経た後の量でも東京ドーム18杯分もあると考えられており、焼却処理自体も困難となれば、さらに大きな容量が必要となってしまいかねない。現在、福島県内から持ち込まれる除染廃棄物の量が予想以上に増えてきていると言われる。このままでは、地元からすれば、中間貯蔵施設の容量が本当に足りるのか、その増設を考えなければならなくなるのではないかという不安が高まるだろう。

 一案として、8000ベクレル/kg以下のものは中間貯蔵施設に受け入れることをせず、通常の廃棄物として処理する方針を早急に確立すべきだ。それによって余裕ができる用地に、8000ベクレル/kgを超える土壌貯蔵施設を増設することが可能になる。

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