2024年4月26日(金)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2009年10月30日

 「これは『衣服の自立』とも関連しますが、まずは『おねしょをすると気持ちが悪い』という感覚を持たせることが大切です。この気持ちが悪いという感覚こそが『おねしょをしないようにしよう』という意識を育てます。その結果として意思で身体をコントロールできる力が育ち、さらにその結果として、見通しを持って生活できる力が育っていくと考えています」(天野園長)

 また、おねしょを叱ることもしない。そのときには子どもがおねしょをした理由を大人が探し、「今日は疲れていたのね」などとやさしく声をかけてやる。なぜなら、子どもがおねしょをするのは当然のことであり、失敗すること自体が悪いことではないからだ。一番大切なのは子ども自身の「おねしょをすると気持ちが悪い。しないようにしよう」という意識を育てること。これによって意思と身体が成長していくと考えているのだ。

 その一方で、子どもの意志の力を超える範疇の問題については、当然大人がケアをする必要がある。たとえば寝る前に水を飲みすぎないよう制限することなどは、大人が手を打つべきことであるという。

 これら一連の考え方には異論反論もあるだろうが、“すべてが子どもの健やかな成長のためにのみある”風の谷幼稚園においては当然の結論なのである。

 以上3回にわたってお伝えした生活力=「身辺の自立」。これらの達成によって、子どもたちが「自分の事は自分で出来る」という自信をつけ「自分の事は自分でやるものなのだ」という意識をごく「当たり前」に持つようになり、それが「誇り」へとつながっていく。この事実は一見に如かずだが、文面を通じて少しでもご理解いただけたなら幸いである。

 次回は、誇りを持って生きていくために必要な力の2つ目である「人や自然と交流できる力」について紹介する。

※次回の更新は、11月6日(金)を予定しております。

風の谷幼稚園
園長・天野優子氏が、理想の幼児教育を実現するためにゼロから建設に乗り出す。様々な困難を乗り越え、1998年に神奈川県川崎市麻生区に開園。「人間が人間らしく、誇りを持って生きていく」ための教育を実践している。

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