2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年2月8日

アフガンでも掃討作戦激化

 リビアに先んじて米軍の掃討作戦が激化しているのがアフガニスタンだ。米ニューヨーク・タイムズによると、ISのアフガン分派に対する特殊作戦部隊の急襲と空爆により、この3週間で約100人の戦闘員を殺害した、という。

 米軍の攻撃が一気に加速したのは、オバマ大統領が昨年12月、アフガンのIS攻撃に関する交戦規定を緩和したことが大きい。新しい規定によると、米軍は標的がISと関係があることさえ示されれば、攻撃が可能になる。これまでは標的が国際テロ組織アルカイダと深い関係にあるという証拠が必要だった。

 アフガンのISはパキスタン国境に近い東部ナンガルハル州を中心に勢力を拡大、同州だけで約1000人、アフガン全体ではさらに数千人の戦闘員がいると見られている。アフガンのIS分派の戦闘員の多くはイスラム原理主義組織タリバンやテロ組織ハッカニー・グループの元メンバーが多い。

 しかし彼らはタリバンに戦闘を仕掛けて支配地を拡大しており、放置しておけば大きな脅威になるとの懸念が強い。オバマ大統領はアフガン駐留米軍を今年末までに訓練部隊を残して撤退させる方針だったが、軍部の進言を入れて今後も5500人規模の部隊を残留させることになった。

 シリアとイラクにおけるISの劣勢は次第に色濃くなっているが、リビアとアフガンでの新たな戦線はISとの戦いが各地に拡散し、終わりなき戦いの様相がさらに深まっていることを浮き彫りにしている。          

  
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