2024年4月20日(土)

華麗なるハリウッド映画

2016年5月1日

オスカー受賞を左右するノミネーション数

 比較的新しい例から、今でもハリウッド映画史上No1興収を挙げた「アバター」(2010年作品)が第82回アカデミー賞(2011年2月27日)でライバルの「ハード・ロッカー」に敗れ、オスカーを手にすることが出来なかった原因の一つになった魑魅魍魎の選出の仕方についてどうしても語っておかねばならない。この年の作品賞のノミネーションの数は5作品から10作品に増えているのだ。これまでに作品賞のノミネーションは一番多い時が12作品。10本、9本、8本と変則ノミネーションの時代もありレギュラーでは5本のはずが時々変化しているのがどうも怪しいと常々思っていたのだが第82回では10本になっていた。

 このノミネーションの数が増えてくるとなかなかオスカーの行方がつかめなくなる。10作品となると自然と得票数にばらつきが生じ第1位を獲るのが厳しくなってくる。この年の投票の方式が何故か新しく変わってノミネーションに順位をつけて投票してゆく方式になっていた。過半数以上で一つの作品が1位にならない限り2位、3位と多く挙がった作品の方が勝ちやすいことが起こるようなシステムになっていたのだ。

 前評判の高かった「アバター」が1位となる投票数がいちばん多かったにしろそれが過半数に満たない場合は受賞とみなされない。そのために2位、3位に挙がった作品を全体票に加算していくのだが多分2位、3位に「ハートロッカー」に一番多く入っていたのではと推測される。故に「ハートロッカー」が作品賞に決定したみたいだ。アカデミー賞に興味があったら作品賞のノミネーションの数にいつも注目していてほしい。

「アバター」がオスカー受賞を逃した本当の理由とは

 ここで穿った見方をするならばアカデミー協会は「アバター」にオスカーを渡したくなったのではとついつい思ったりしたくなる。ライバルの作品「ハート・ロッカー」がジェームス・キャメロンの元奥さんの監督作品だったこともあってハリウッドではだいぶ話題になったこともあった。

 スピルバーグがなぜオスカーを手にするのにこんなに時間がかかってしまったのか。なぜ急逝したジェームス・デイーンにオスカーが手渡されなかったのかと問えばアカデミー協会は死んだ人間には賞を与えられない規則になっているので、がその返答だった。

 ついでにノミネートされながら生涯オスカーを手に出来なかったスターの名前を挙げておこう。 リチャード・バートン、ピーター・オトゥール、デボラ・カー、モンゴメリー・クリフト、カーク・ダグラス、ケーリー・グラント、マルレーネ・ディエートリッヒ、エロル・フリン、そして監督のヒッチコックが、なぜオスカーを手にできなったかはMGMのルイスB・メイヤー或いは他の協会実力者しかその真実を知る人はいない。


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