海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年4月9日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

抗議活動家の声

 2014年7月トランプ候補は、ワシントンの観光名所の1つになっているオールド・ポスト・オフィス(1899年建設)を再開発し、トランプ・インターナショナル・ホテルを建設すると発表しました。

オールド・ポスト・オフィス前に掲げられたトランプ・インターナショナル・ホテルの看板。2016年大統領選挙を意識したメッセージを発信している(筆者撮影@オールド・ポスト・オフィス ワシントン)

 トランプ・インターナショナル・ホテルは、ペンシルバニア通りに面し、ホワイトハウスと連邦議会の間に建設されます。ある米国メディアの記者が、当初18年までに建物を完成する予定でしたが、同候補が大統領選挙の投票が行なわれる16年11月に前倒ししたと筆者に説明してくれました。そこには、宣伝効果を狙い、ワシントンにおける存在感を高めるという同候補の意図が窺われます。しかし、それ以上に看過してはならない点は、トランプ候補が本気で大統領選挙に出馬していたということです。

オールド・ポスト・オフィス前でドナルド・トランプ候補に対して抗議をする活動家たち(筆者撮影@オールド・ポスト・オフィス ワシントン)

 オールド・ポスト・オフィスとアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)総会の会場前で、トランプ候補に対して抗議活動を行っていた活動家を対象にヒアリング調査を実施しましたので、彼らの声の一部を紹介しましょう。

 アンドリア・ワイズコフ(40代)

 バージニア州フェアファックス郡で古代ローマ史を担当している教員のワイズコフさんは、「憎悪はアメリカを偉大な国にすることはできない」という看板を持って抗議運動に参加していました。メキシコ系やイスラム教徒をスケープゴート(身代わり)にして、「アメリカを再び偉大な国に戻す」というスローガンを掲げているトランプ候補に対する批判のメッセージです。ワイズコフさんは、トランプ不支持の理由を次のように語っていました。

 「特定の人物や民族を排除するのはアメリカらしくありません。グローバル社会と排除は相容れないのです」

 ワイズコフさんは、トランプ候補の排除の思考様式に強い懸念を抱いていたのです。

トランプ人形を被って抗議する活動家(筆者撮影@オールド・ポスト・オフィス ワシントン)

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