抗議活動家の声
2014年7月トランプ候補は、ワシントンの観光名所の1つになっているオールド・ポスト・オフィス(1899年建設)を再開発し、トランプ・インターナショナル・ホテルを建設すると発表しました。
トランプ・インターナショナル・ホテルは、ペンシルバニア通りに面し、ホワイトハウスと連邦議会の間に建設されます。ある米国メディアの記者が、当初18年までに建物を完成する予定でしたが、同候補が大統領選挙の投票が行なわれる16年11月に前倒ししたと筆者に説明してくれました。そこには、宣伝効果を狙い、ワシントンにおける存在感を高めるという同候補の意図が窺われます。しかし、それ以上に看過してはならない点は、トランプ候補が本気で大統領選挙に出馬していたということです。
オールド・ポスト・オフィスとアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)総会の会場前で、トランプ候補に対して抗議活動を行っていた活動家を対象にヒアリング調査を実施しましたので、彼らの声の一部を紹介しましょう。
アンドリア・ワイズコフ(40代)
バージニア州フェアファックス郡で古代ローマ史を担当している教員のワイズコフさんは、「憎悪はアメリカを偉大な国にすることはできない」という看板を持って抗議運動に参加していました。メキシコ系やイスラム教徒をスケープゴート(身代わり)にして、「アメリカを再び偉大な国に戻す」というスローガンを掲げているトランプ候補に対する批判のメッセージです。ワイズコフさんは、トランプ不支持の理由を次のように語っていました。
「特定の人物や民族を排除するのはアメリカらしくありません。グローバル社会と排除は相容れないのです」
ワイズコフさんは、トランプ候補の排除の思考様式に強い懸念を抱いていたのです。