その後、ナイジェリア政府軍がキャンプを発見して制圧した。しかし軍は女性たちの小屋も焼き払い、一部は銃撃で死亡した。軍は昨年4月、救出した彼女たちを北東部ボルノ州の州都マイドウグリの収容所に入れたが、2人は“ボコ・ハラムの妻”との烙印を押され、他の収容者らからも村八分にされた。
「ボコ・ハラム」に拉致された女性たちは最初、コーランの教育を連日受け、その後に「自爆テロと背後から首をかき切る」訓練を施されるのが一般的だ。女性たちはイスラム原理主義教育によって洗脳され、「天国に直行でき、来世で永遠の命を得る方法」として自爆テロの必要性をたたき込まれる、という。
ナイジェリア政府軍は当初、女性たちが脅され、無理矢理爆弾を体に装着されて自爆テロを実行していると考えていたが、救出した女性たちの証言などから、むしろ自ら進んで自爆テロを実行している実態が明らかになっている。
遠い壊滅への道
「ボコ・ハラム」は2009年に反政府過激派集団として結成され、2015年3月にISの傘下に入った。指導者はアブバカル・シェカウという狂信的な人物だ。ナイジェリア北部の町や村々を襲撃して無差別殺りくを繰り返し、これまでに1万人以上を殺害、2000人を超える女性たちを拉致した。
「ボコ・ハラム」の女性や10歳未満の少女を使った自爆テロは2014年以降に激化した。ナイジェリアだけではなく、隣国のカメルーンにまで越境してテロを実行している。女性たちを使うのはイスラムの民族衣装に爆弾を隠しやすく、男のテロよりも成功する確立が高いからだ。