2024年12月12日(木)

今月の旅指南

2016年4月22日

 明治時代、主に輸出用として製作された金工、漆工、七宝などの工芸品。これらはその卓抜した技巧が欧米のコレクターから称賛され、今でも高値で取引されている。今年で開館15年を迎える大阪歴史博物館では、近代に活躍した大阪の職人に注目、これまであまり紹介されたことのなかった工芸品にスポットを当てた展覧会を開催する。

村上盛之《冬瓜大香炉》明治39年(1906)頃
清水三年坂美術館蔵

 展示されるのは、大阪で製作された近代の工芸品約170点。なかでも注目したい作品の一つが、弘化3年(1846)生まれの金工師、村上盛之(もりゆき)の傑作「冬瓜大香炉(とうがんだいこうろ)」だ。冬瓜の実は四分一(しぶいち)(銀と銅の合金)、葉は赤銅、花は金といった異なる色調の金属が組み合わされ、群がる虫も実に精密に表現されている。また、木彫作家穐山竹林斎(あきやまちくりんさい)の「龍自在置物」は、金属製が多い自在(体の各部が動かせる)置物の中では異色の木製品で、今回は特別に、着色された「黒龍」と白木の「白龍」がそろって公開される。

 このほかにも、初代・月山貞一(がっさんていいち)が、日本美術協会大阪支会の依頼で製作、明治天皇に献上された刀や、著名彫刻家・森川杜園(とえん)の孫、山本杏園(きょうえん)の初公開作品「鶺鴒(せきれい)」なども展示。大阪職人をキーワードに、一味違った近代工芸品の世界が堪能できる。

<開催日>近代大阪職人(アルチザン)図鑑─ものづくりのものがたり─ 
             2016年4月29日~6月20日
<会場>大阪市中央区・大阪歴史博物館(市営地下鉄谷町線谷町四丁目駅下車)
<問>☎06(6946)5728
        http://www.mus-his.city.osaka.jp/

*情報は2016年3月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2016年5月号より

 


 

 


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