2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月26日

 ニューヨークタイムズ紙が3月21日付社説で、アトランティック誌のインタビュー記事でのオバマのサウジ批判を紹介し、オバマには両国関係を進展させる時間は殆ど残っておらず、それは後任大統領の仕事になるだろう、と言っています。社説の要旨は次の通り。

脆弱化する米×サウジ関係

 オバマは長年、サウジその他のスンニ派アラブ国家を、イスラム教の厳格な解釈が過激主義を助長している抑圧的な社会とみなしてきた。アトランティック誌のゴールドバーグ氏とのインタビューで、オバマはサウジを、米国の力を自分たちの偏狭で宗派的な目標に用いる「ただ乗り」の同盟国とした。

 オバマは、サウジその他のスンニ派アラブ国家が反米闘争を煽っていると批判し、サウジはイランと「ある種の冷たい平和」を達成することで、地域で共生するようもっと努力すべきである、とも述べた。

 サウジはすぐさま反論した。Turki al-Faisal王子(元サウジ諜報機関トップ)は、オバマは、サウジ政府が行ってきたテロとの戦いにおける情報共有を含むあらゆることを認めようとしていない、とArab Newsに書いた。しかし、何十年にもわたる両国のパートナーシップは、ますます脆弱になっている。

 サウジはシーア派のイランが卓越することを恐れるあまり、イラン核合意がイランの核能力を制限するものであるにもかかわらず、合意を葬り去ろうとした。サウジとイランの競争は、シリア、イエメン、イラクにおける代理戦争を激化させた。サウジのイエメン介入は、サウジが支持する政府軍とイランが支持するホーシー派の戦争を激化させ、シリアでは、サウジはイランが支持するアサドと戦うより過激な反乱軍のグループを支援してきた。Turki王子が「イランと地域で共生する」とのオバマの考えを嘲笑したことは不思議ではない。


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