2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年5月26日

「先に日本が挑発した」という言い訳
猿真似事件のデジャヴ

 今回のテーピング放り投げ事件も同じだ。いくら反日感情が強い韓国とはいえ、この事件の一部始終をありのまま伝えたら、スポーツマンシップに反する行為をした選手には韓国内からも厳しい意見が出されていたはずだ。実際、現場の様子を把握できる動画を転載した韓国の掲示板、個人ブログには「これは恥ずかしい」「マナーを守ってほしい」との意見が相次いだ。それを懸念したのかどうかは知らないが、大手メディアはこの事件を報道しなかった。

 残念なのはそれだけではない。報じたネットメディアの中には「先に浦和サポーターが韓国の選手たちに物を投げたから、(それに怒った)韓国選手がテーピングを投げた」と事実を曲げて伝えたのだ。

 その報道を見て最初に頭に浮かんだのは、2011年AFCアジアカップ準決勝の日韓戦でゴールを決めた韓国選手がカメラに向かって猿の真似(日本人を猿に例え嘲笑った行動)をするパフォーマンスをして物議を醸した事件だ。猿真似事件の時、韓国内からも「下品だ」という批判が起きると韓国選手は「スタンドに旭日旗があったから」という言い訳をした。

 先に日本の挑発(旭日旗)があったから、自分もそのような行動(猿真似)をしてしまったという理屈だが、実は彼以外に旭日旗を目撃した人はいなかった。ところが、当時韓国のテレビ局はその試合から一年前の日本VSオランダ戦の映像を拾ってきて、「旭日旗はあった」と選手をかばった。相手が日本なら、日本人の前ならウソをついてでも韓国人をかばおうとしたのだ。

 両事件は、自分の「行動」(テーピング投げ、猿真似)に問題があったことを認めながらも、それは日本側の挑発(先に浦和サポーターに何かを投げられた、スタンドに旭日旗があった)があったからだと正当化しようという点がまったく同じだ。

 韓国マスコミは韓国選手の問題行動を報道しないことで、韓国内から批判が起きるのを防げたかも知れない。しかし、長い目でみたら韓国マスコミが苦言を呈してあげることで選手たちの意識やマナーを向上させることがマスコミの「仕事」ではないだろうか。

 もちろん、報じるか報じないかは韓国マスコミの自由でもある。韓国にとって不都合なことは報じない自由。先日発表された2016年言論の自由度ランキングで韓国が日本より2ランク上の70位と発表されたが、報道しない自由度は確かに韓国が上かも知れない。

  
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