景気と株価の本当の因果関係とは……
それよりも遥かに重要な要因として、投資家たちが景気を予測して、「景気が悪化して企業の利益が減りそうだから、株を売っておこう」といった行為が株価と景気を連動させているのです。気をつけなければならないのは、株価が先に動いて景気が後から動くのに、景気が親で株価が子だ、ということです。
リーマン・ショックのように、株価と景気が兄弟の関係になる場合も少なくありません。米国でリーマン・ショックが発生した時、日本の株価は直ちに値下がりしました。「米国の株価が下がると日本の株価も下がる」というのが株式投資の世界では自然なことだからです(理由は後日記します)。
一方、米国の景気が悪化し、日本の輸出が減少したため、日本の景気も悪化しましたが、それにはタイムラグがあったので、株価下落より景気悪化の方が後になりました。
日銀の金融政策も、親となり得ます。日銀が金融を引き締める(世の中に出回っている資金の量を減らす)と、株価はただちに下がります。理由は様々ですが、一番わかりやすいのは、世の中に出回る資金が減ると株式投資に回る資金も減るから、ということでしょう。
一方で、日銀が金融を引き締めると、金利が上がるので、借金をして投資をする会社が減り、投資のための機械などが売れなくなって景気が悪化します。しかし、これもタイムラグがあるので、株価下落に遅れて景気が悪化するのです。