離脱派の主張
欧州では、EUは好きだけど、ブリュッセルのEU本部の官僚は嫌いという人も多いと言われている。EU加盟国に対する規則があまりに多いと感じている人が多いということだろう。さらに、ジョンソンによると、英国がEU加盟に必要としている費用は毎週3億5000万ポンド(525億円)とのことだ(この金額はEUが英国に対して使用している資金を引いたものではないので、実質的な負担額は少なくなる)。EU離脱によりブリュッセルの官僚から自由になり、国家主権を回復するのは魅力的との離脱派の主張だ。
EU28カ国中22カ国はシェンゲル協定により移動の自由を保証し、国境管理を廃止している。英国は国境管理を国家主権の重要事項と考え、シェンゲル協定には参加せず、国境管理を行っている。EUに一旦入国すると、その後はパスポートコントロールを通ることなく、移動できるが、英国入国時には再度入国審査が行われる経験をすることになる。しかし、英国は多くの移民をEU内の東部、南部諸国から受け入れている。EU離脱によりこれらの国からの移民を削減するチャンスとの主張がある。移民の受け入れが減少すれば英国人の雇用が増えるとの主張だ。しかし、残留派からは優秀な移民が失われると経済にはマイナスの影響との反論もある。
EUに留まるか離脱かは、年齢により意見に大きな差があり、離脱の主張は60歳以上、残留の意見は若年層に多いとされている。国民投票の結果離脱が多数となれば、今後2年間の間に英国は離脱の交渉を行い、2年後にEUを離れることになる。