トランプもジョンソンも温暖化懐疑派なのはなぜ
2009年12月にコペンハーゲンで開催された気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に先立ち、ニューヨークタイムズ紙に、オバマ大統領と議会に対し直ちに気候変動対策を取るように呼びかける全面広告が掲載された。その賛同者のなかにトランプの名前がある。気候変動問題を懸念する立場だったようだ。
しかし、その後トランプは立場を大きく変える。2012年のツイートでは「気候変動問題は、米国の競争力を削ぐための中国の陰謀」になり、昨年秋のオバマ大統領の「気候変動問題は世界と米国にとり脅威」との発言に関しては、「私が知る政治史のなかで、最も愚かな発言だ」とまで述べている。いまや、温暖化懐疑論に変わったようだ。最近の演説の発言は次だ「環境保護庁の力を削ぎ、パリ協定を破棄し、オバマ政権の気候変動対策のように仕事を奪う政策を無効にする。国連の温暖化対策に関する支出を全て止める」。
トランプを嫌うジョンソンも、気候変動、温暖化問題については、トランプと同じ立場だ。EU離脱を主張している有力政治家の大半は温暖化懐疑論の立場と報道されている。もし英国のEU離脱が実現した場合には、英国政府の気候変動問題への取り組みにも変化が生じるとの見方もあるほどだ。
EUの規制を嫌い、EU離脱を主張する立場は、別の見方をすれば規制よりも市場に任せれば良いとの立場とも思える。気候変動問題のようにECが主導権を持ち目標を定め、排出枠取引などの制度を定めることには、当然反対の立場になるのだろう。
米国共和党の志向も同様に、基本的には市場の力を利用するとの立場だ。市場を利用し問題を解決する小さな政府志向の立場では、気候変動、環境問題のように解決には規制を必要とする課題への取り組みは難しくなる。だから、問題は起こっていないと考えるのは飛躍があるように思うが、ジョンソンもトランプも同じように考えているようだ。
英国のEU離脱が決まり、トランプが米大統領に就任する事態になれば、世界の気候変動対策は大きく見直されることになりそうだ。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。