オトナの教養 週末の一冊

2016年6月17日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――現在の習近平主席は毛沢東に対してどのような態度でしょうか?

城山:まず習近平の生い立ちについてお話しすると、彼の父親はとても開明的な政治家でした。それ故に文化大革命以前から16年に渡り迫害の対象となり、そのうち8年間は独房での生活を強いられた人物です。しかし、文化大革命が終わり、鄧小平の改革開放路線が始まると広東省の第1書記に抜擢されるなど重用され、改革開放をリードしていきます。また、異論を唱えられる社会でなければならないとして異論保護法の制定を進めました。

 そうした父親を持つ習近平は、若い頃自らも貧しく苦難に満ちた生活を強いられた経験があるにもかかわらず、毛沢東の言葉を演説で多用するばかりか、言論を弾圧して異論を述べた人の自由を奪ったり個人崇拝を進めたりしている。習近平がなぜ、自分や家族を苦しめた毛沢東を真似るのかというのは、私にとってどうしても理解しがたいテーマでありました。

――他にもそうした政治家は多いんですか?

城山:例えば、重慶市のトップだった薄煕来はその典型です。彼は毛沢東時代の歌を歌ったり、黒社会(マフィア)の人達を摘発したり、これは良いことですが、格差の是正を目指し、弱者に対し温かい政策を行いました。

 この「毛沢東を真似る」というのは、中国の政治的な特色をよく表しているように思います。共産党指導者は毛沢東の権威を借り、自らを毛沢東型の指導者であるとアピールすれば、国民から求心力を得やすく、権力基盤を固められるという複雑な事情もある。要するに、未だに毛沢東を引き摺っているのです。

――どうして未だに毛沢東を乗り越えられないのでしょうか?

城山:毛沢東がそれだけ偉大だからです。「毛沢東=中国」と言っても過言ではないくらい、皇帝そのものに近いと考える支持者たちが多いからです。

 それに対し、私も何度も取材し、本書の第1部に登場する改革派の人権派弁護士である浦志強さんは、毛沢東が未だに政治、経済、社会と全てを支配している状況を変革しようと、毛沢東の生前の遺志に従い、毛主席記念堂に安置されている遺体を火葬することを提案し、社会を変えようと狙いました。

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