オトナの教養 週末の一冊

2016年6月17日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――観光客の方々は、中国で教育されたり、報道される日本と実際に訪れて触れる日本ではやはりかなりの違いを感じるのでしょうか?

城山:対日宣伝の影響で未だに軍国主義国家だと思って来日すると、実際には全くそんな国でないことが分かる上に、物は円安で安く品質も良く、ブランド力もあるということでたくさん買い物をして帰る。日本は、我々が宣伝や教育で受けた国とは違うということで、日本に対する考えを改める人がほとんどです。

 買い物について言えば、最近は質が変わってきたと思います。初めはそれこそ爆買いという言葉が流行ったように電化製品を大量に買い求める人が多かったですが、薬や服などもっと安くて良い物の購入にシフトしてきている。

 また、これまでの来日では買い物が中心だったのが、地方の風情のある温泉地に行ってみたいという人が増えているようです。もっと日本の伝統文化や社会の仕組みを知りたいという変化があるわけですね。

 私がよく取材している知識人の中には、日本に家を購入したいという人も多いです。定期的に来日して、日本の中で生活をし、日本の文化をもっと知りたいと。

 爆買いでも良いとは思いますが、このように来日してもらって、中国での宣伝や教育とは全く違うということを理解するのが日中関係改善に繋がるのではないかと思います。

 ただ、一番の問題は日本人の対中感情です。我々メディア側の問題も大きいのではないかと思いますね。

――といいますと?

城山:中国では、日中政府間関係が悪化した際、国営メディアが日本は軍国主義国家だという報道をしている一方、日本のメディアは中国の面白おかしい部分を取り上げたり、中国共産党の強硬な面だけを批判的に報道しています。中国共産党は民主国家ではないわけですから、我々からすれば彼らのやることの多くは首をかしげるものであり、当然、批判の的になる。今回の本の目的の1つは、中国は共産党・政府が全てではないと伝えることです。中国には先ほど紹介した浦さんを始め、社会を良くして前進させようと権力と戦う勇気のある民間の人たちもたくさんいます。そういう視点で中国を見ることで、新たな中国が理解できるのではないかと考えこの本を書きました。

 また、日本のメディアは日本政府の動きを報じるときには主語を「日本政府は」「安倍政権は」「安倍内閣は」「政府・与党は」とするにもかかわらず、中国政府の場合には「中国は」と報じることが多い。本来ならば「中国政府は」「中国共産党は」「中国の習近平指導部は」と書くべきです。中国政府は政府、民間は民間とわけて考えるべきと、個人的には考えています。

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