オトナの教養 週末の一冊

2016年6月17日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――確かにそうですよね。話は習近平指導部に戻りますが、習近平体制になり、改革派の動きに対して弾圧をしていると。現体制の現状はどうなんでしょうか?

城山:中国には、土地の問題から失業問題、食品の安全問題と数えきれないほどの社会問題があります。その問題は共産党一党独裁体制そのものに起因するものが多いのですが、一方で被害者の権利意識を高める動きが改革開放以降高まっています。そうした動きに一役買っているのが、被害者の当然の権利を守ろうと立ち上がる人権派弁護士や改革派の大学教員で、彼らがネット上で実態を伝えたり、解説したりすれば共産党やその体制に対し批判的な声があがります。その動きに対し、中国共産党・政府は、報道統制や逮捕をしたりしていますが、逮捕そのものがおかしいと分かる人が確実に増え、抑圧すればするほど、それを恐れない人たちが民間に増えてきており、支援の動きも広まっています。

 一方、共産党指導部内に目を移すと、経済政策を巡る李克強首相との矛盾や言論統制を巡る対立、さらに腐敗を巡る江沢民派の反発もあり、決して一枚岩ではありません。そうした党内の対立要因と共産党に対する外部の不満が結びつけば、大きなムーブメントになってしまうのではないかという危機感は強いと思います。

――そうした動きに対し、今後習近平はどのように動くのでしょうか?

城山:おそらく個人崇拝や集権を強め、反体制勢力を抑える政治を展開するのではないでしょうか。しかし、それが果たしてどこまで通用するのか。指導部内が分裂するような事態が起こる可能性も否定できませんし、その時に人権派弁護士などネット上で影響力を誇る知識人たちが、一般市民の支持を集める事態となれば、今の体制への疑問が吹き出して不透明な時代となるでしょう。

 この本で描いたように、現在の中国は共産党だけを見ていればわかるという社会ではもはやありません。民間の人たちや知識人といった共産党と戦っている人たちも見ておかないと、今後「中国」がどのように進むのかが見えてこないのではないかと思いますね。


  
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