2024年4月19日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年7月31日

 広い芝生の庭に花が咲き乱れておりトワイライトのディナーは最高の雰囲気である。オーナーの老婦人がお手製の果実酒を振る舞ってくれ、話に花が咲く。話を聞いていると非常に親しい関係のようだが、どうも7人は親戚関係ではないようである。巡礼で出会う中年男女グループでは兄弟姉妹とそのつれあいというグループが多いが、どうも違うようだ。

 不思議に思って7人の関係を聞いてやや驚いた。30年ほど前にロンドンの公立小学校で子供が同じクラスであったのが縁であるという。PTAの役員をしたり、子供の遠足やスポーツ大会などの小学校のイベントに参加して知り合ったという。同じ学区に住んで家が近いので子供が中学、高校、大学と進学しても交流が続いたという。

 そしてロンドンらしいのが男性陣はクリケットチームをつくり、さらには溜まり場の地元のパブで交流を温めてきたという。7人の最年長は76歳で一番若くても65歳。

Gascauの巡礼宿の食堂にて。夕食後であるが夏時時間でまだまだ明るい

 長い年月の間に何人かはロンドンを離れて郊外や他の都市に移ったり、中には離婚した夫婦もいるが、それでも交流が続いて現在でも20人~30人ほどが家族ぐるみで毎年ロンドンで集まって旧交を温めている。最近では小学生だったこどもが結婚して子供を連れて参加するようになった。

 そして毎年一回グループで旅行するのが恒例となっているという。ここ数年は毎年10日間ずつサンチアゴ巡礼道を歩いている。サポート用のワゴン車を1台チャーターして、毎日一人がドライバーになり全員のトランクや寝袋などの荷物を運び、午後は食材を調達して宿泊場所に先着して夕食の支度を始めるという。気心の知れた仲間どうしで和気あいあいのチームワークである。

 最近は日本の小学校でも父親もイベントに参加して親同士の交流の機会もあるようだが、このように30年も交流が続くことは珍しいのではないか。7人がファーストネームで呼び合いながら適度の親しさと距離感を保ちつつ交流しているのを身近に見ていて英国の成熟した市民社会がどういうものか少し理解できたように思った。

⇒第7回へ続く 

  
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