2024年4月26日(金)

田部康喜のTV読本

2016年6月25日

 宇宙ステーションのなかで、ひとつのミスも許されない、宇宙飛行士は極度のストレスにさらされながら5カ月もの月日を過ごす。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)で宇宙飛行士のストレス対策を研究する、宇宙航空医師の緒方克彦さんが登場する。この医師資格は日本で10人しか持っていない。

ストレス軽減に必要な2つのこと

 まず、「コピーイング」である。ストレスを感じた時に気晴らしになる項目をあらかじめリストアップしておく。音楽鑑賞や読書など、簡単なものでもいい。できるだけ多い方がよい。ストレスが生じた時に、そのリストのなかから項目を選んで実行する。

 宇宙飛行士たちは、宇宙ステーションにギターなど、ストレス解消の手段を持ち込める。日本人飛行士の古川聡さんは、家族とのインターネットを通じたメールのやり取りや、青い地球を眺めることをリストアップしている。さらに、「ひとり野球」である。野球少年だった、古川さんは無重力空間を利用して、ひとりでボールを投げ、それを打って、捕球する。

 次に「マインドフルネス」である。ストレスの軽減策として、米国心理学会も推奨して、うつ病の患者ばかりではなく、学校や刑務所などでも導入されている。

 自分の呼吸に神経を集中させて、過去を思い出したり、未来を考えたりしないようにする。雑念を払って、いまを感じる。

 まず、目をつぶって、体を左右に軽く揺すって、体の中心を感じる。呼吸によって、胸や腹が上下する動きを感じる。自然な呼吸に身を任せる。こうして、いまを感じる時間を日に10分ほど過ごすだけで、身体的なストレスの30%、心理的なストレスの40%が減少するという。


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