また展示ロビーには、ビールのジョッキのコレクションがガラスケースに納まっていた。いずれも蓋つきの陶製で、表面に描かれた風俗画や紋様が面白い。人の顔やドクロの形のものもあり、ほとんどがドイツ製だ。
この辺りは海も近いせいか、鳶〔とんび〕が多い。ガラス越しに見える近所の大木に群れている。群れすぎていささか困ることもあるらしい。館の人が大きなガラス窓を開けて、それをドンと閉めると、その風圧のある音で鳶がいっせいに散らばっていった。
(本文中写真:川上尚見)
【河村美術館】
〈住〉 佐賀県唐津市北城内6-5 〈電〉0955(73)2868
http://www.kawamura.or.jp/
河村晴生氏が父・河村龍夫氏(1893~1976年)のコレクションを展示するため、1990年、龍夫氏の故郷である唐津に創設した。青木繁(1882~1911年)の作品20点を常設展示する青木繁展示室ほか、企画展示室、東洋美術展示室、西洋美術展示室、展示ロビーから成る。西洋美術展示室にはエマーユ(エナメルペインティング)が陳列され、展示ロビーには主にドイツ・メトラッハ窯の蓋つきビールジョッキが並んでいる。白砂青松の名勝地として知られる虹の松原にほど近い。現在は土・日曜と祝日のみの開館となっているのでご注意を。
〈開〉 10時~17時 (入館は16時30分まで、土・日・祝日のみ開館)
〈料〉
一般500円 高校・大学生400円 小・中学生250円
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