世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年8月8日

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 この論評は正鵠を射ており、違和感はほとんどありません。取り上げられている問題は、習近平と人民解放軍との関係を判断する上で、重要な論点でしょう。

人民解放軍との駆け引き

 しかし、もう一つの可能性を考えておく必要があります。それは習近平が人民解放軍との関係調整に手間取っていることと関係します。2015年11月末、共産党中央軍事委員会・改革工作会議で軍事改革案を決定しました。極めて大胆で野心的な改革案であり、近代戦を戦い勝利する軍隊をつくると言いながら、その実、将軍たちから習に実権を移すものです。しかし、これで勝負ありということではありません。実施段階の方がさらに困難を伴うものです。人民解放軍と習との駆け引きと力比べはまだ続いているとみておくべきです。

 ここがすっきりしていないので、NSCを動かせないでいるのではないでしょうか。それに、この軍改革により、中央軍事委員会を強化した上で、習がその中央軍事委員会を通じて直接、軍を統括できるようになれば、習にとってのNSCの重要性もその分、落ちることになります。

 さらに来年の党大会が重くのしかかってきます。しかも現時点をとれば党中央が分裂気味であることが外から感知できるほどです。そういう時ほど人民解放軍の支持が重要になります。習は軍に軸足を置いて政権運営をしているように見受けられます。南シナ海政策も軍が牛耳っているようです。この状態は来年の党大会まで続くでしょう。そこでどの程度、習の政権基盤を固めることができるか、それによってNSCのまとまり具合も自ずから決まるでしょう。
 

  
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