2024年7月18日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年9月13日

 この論説は興味深い分析ですが、少し違和感があります。トランプは一種特別な現象であり、彼を現実主義者というのは不適切な命名です。現実をよく勉強せず無知な人は、現実主義者ではありません。国家を称してはいるものの分散もしているISを核攻撃するというのは、現実主義にはほど遠いことです。

トランプはデマゴーグ

 また、オバマをIS創設者というのは嘘以外の何物でもありません。トランプは単なるデマゴーグです。その主張の中にリアリストの主張と重複している点はありますが、それで彼がリアリストであるとはとても言えません。また、国際政治の見方としての現実主義は一つの正当なものの見方であって、トランプとともに沈没してしまうようなものではありません。

 リアリストと対立する思想の潮流は、理想主義者、アイディアリストです。米例外主義者は、米国の特殊な使命を信じるという意味でアイディアリストに近いですが、例外主義と理想主義が全く重なり合うというわけでもありません。これは米国以外の国においても現実主義的考えと理想主義的考えがあることを考えれば、すぐ分かります。現実主義を米例外主義に対立するものと前提したうえでの論建ては、あまり良い分析にはならないでしょう。

 11月選挙ではクリントンがトランプに圧勝すると思います。トランプの大統領適格性が問題にされていますが、トランプには大統領候補たる適格性さえもありません。共和党は分裂した党で、そういう分裂のなかでホワイトハウスを奪還する力はないでしょう。

 この論説で賛成できるのは、クリントンはオバマの継続というより、米国の使命を信じる米例外主義者、タカ派であるというルースの意見です。オバマより、軍事的な国際的関与に積極的になるでしょう。世界の秩序を維持するという点では、クリントンのそういう傾向は歓迎できます。特にアジアへの軸足移動はクリントンの政策ともいえ、重視されると思われますが、それは日本から見て歓迎できることでしょう。

  
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