2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2016年9月22日

若手に有望選手

―― 日本のトーナメントでは韓国勢に優勝を奪われているが

 「確かにイ・ボミ選手など韓国のプロは強い。どの国でも自国の選手が勝つことが期待されている。しかし、強い選手がいるとお互い切磋琢磨して、それぞれの能力が引き上げられる。フィールドが強くなるので、競争力も上がり、見ごたえが増す。2003年の宮里藍選手以降、若手が脈々と出てきている。毎年実力がある新人が台頭し、プロ入り2年目の20歳の若手が、トーナメントの最終日で優勝争いをするなど、いま、頭角を現してきている。さらにアマチュアでもプロの大会で優勝する実力のある高校生も出始めている。数年後には世界のメジャーで優勝する選手が出てくれると信じている」

―― 女子プロトーナメントは男子以上の人気があるのはなぜか

■小林浩美・日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長「トーナメントを充実し勝てるプロを育成」

 「今年のトーナメントツアーでは27試合終わった段階で20人の優勝者が出ている。多くの選手が勝っている群雄割拠が続いている状態で、これが女子プロに人気を高めている。ファンも多様化し、特定の有力な強い選手についていく人ばかりではなく、いろいろな選手にコアなファンがついている」

「トーナメントに来る今年の観客数は8月末現在約34万人で前年同期比を1・7%上回っている。テレビの視聴率も5%台をコンスタントに維持している。女子プロゴルフに相当のコア層のファンがいる証拠で、スポンサー企業にも好評だ」

4日間トーナメント増やす

―― 日本女子プロゴルフ協会として女子プロの人気回復策は

 「トーナメントツアー強化を重点テーマに掲げ、世界で勝つことを目標に年間38試合行っている(今年は熊本地震の影響で37試合)。このツアーを通して選手の才能をさらに開花させ、能力を高め、さすがはプロだというプレーを見せて、エンタテインメントとしてのゴルフの楽しみ、醍醐味を世の中の人にもっと多く届けたい」

―― 具体的なツアー強化策は何か

 「これまで、日本のトーナメントはメジャーな試合以外はほとんど3日間大会だった。しかし、欧米では女子も大半が4日間で行われる。現在、日本では全体の約3分の1に当たる11大会が4日間大会になっている。日本の女子プロが世界に伍して戦うためには、体力を含め4日間大会での戦い方をツアーの中で身に着けることが大事だ。今後も4日間大会をツアー全体の半分になるよう増やしたい。

 トーナメントのコースセッティングも芝の育成度合いとコースのレイアウトと合わせ、より多様化し、選手の対応力を強化していきたい。世界のどのゴルフ場で大会があっても、ひるまずに環境に対応できるようになってほしい。また、トーナメント会場の練習場の環境を充実させ、基準値を設けたい」

―― ジュニアの育成で新しいスナッグゴルフの試みをするそうだが

 「小学生以下を対象にしたジュニアへのゴルフの普及と拡大にも力を入れていく。このジュニアの中からプロになった人が何人もいる。ティーチングプロの指導の下に、ゴルフの経験あるなし問わずゴルフに触れてもらう。夏休み期間中の「サマーキッズ」などの取り組みがある。わざわざゴルフ場に行かなくてもスナッグゴルフ(プラスティックのクラブでテニスボールのようなボールを打つ)が体験できるので、子供たちにとっては面白いのではないかと期待している。今年10月29日にゴルフ場以外の大手流通イオンの埼玉県越谷市にある商業施設「イオンレイクタウンkaze」で、ジュニアゴルフコーチ指導の下で、初めて商業施設での取り組みを行う」

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