まとめ
問題をストレートに指摘し、データ情報を元にして具体的かつ実現可能な解決策を考える。そんな思考ができる出口さんと駒崎さんのおふたりに共通するのは、ご自身が経営する組織を子育て支援のために設立している、ということです。出口さんは「保険料を半分にして、安心して赤ちゃんを産み育てられる国を作りたい」と考えて、ライフネット生命を創業。駒崎さんは、病気の子どもを看病するため会社を休んだら解雇されてしまった方の例を知り、そんなのはおかしいと思い、社会起業の形で解決するため、認定NPO法人のフローレンスを設立しています。
そんなふたりの考えが詰まった本書を読むと、多くの人が勇気づけられることでしょう。子どもの遊びがいかに大事か、子どもを抱えて階段を上り下りするのがいかに大変か、そのような現場感を理解している人たちが語る国のデザインづくりの話題は、読んでいて元気が出てきます。
「良い話だった」「素晴らしい」…そんな感想を持ち、読み進めるうちにふと気づきます。出口さんや駒崎さんを褒めているだけではいけない、と。本書を読み、問題と解決の方向性に気づいた人は、行動に移さなくちゃいけないのだ、と気づくのです。
子どもや家族を軽視する予算配分を決めているのは政治ですが、その政治を行うダメな政治家を選んでいるのは、私たち自身です。文句を言って諦めるのではなく、できることを考えてみよう、そういう気持ちにまでさせてくれるこの1冊。読んだ後はぜひ、親しい人と意見交換してみてください。良質な対話の素材として大活躍してくれるはずです。お友達と、ご夫婦で、親子で。そうして社会を変えられる希望を持つことが、子育てしやすい国を作る第一歩になるでしょう。
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作 者:出口治明・駒崎弘樹
出版社:ウェッジ
出版日:2016年08月05日